経営企画室便り

スタッフモチベーションの勘所

色々あるとは思いますが…

あくまでも、私の経験上ではありますが、広い意味での理美容関連サービス業に従事するスタッフが、この仕事に従事する最大の理由は、

「お客様からの『ありがとう』を、お客様から直に、しかも、サービス提供してすぐにいただける機会が多いこと」

だと感じています。
とても純粋な気持ちですよね。

したがって、スタッフモチベーション云々を考える場合、何をさておいても、この点がどうなっているかを確認することが重要と考えています。
評価制度、クレド、その他もろもろの仕組みの前に、まずは、この点にフォーカスするのが、近道じゃないかなと思います。

今日は珍しく、短くこのへんで…(笑)

売れるか売れないかのわかれめ

売れるか売れないかの分かれ目(特に新規のお客様に対して)…
色々あるとは思いますが、つらつら思うに、私はやっぱり、

「その商品・サービス・お店をご利用いただいた時の具体的なお客様ご自身のハッピーシーンを、ビビッドに、可能な限り一瞬でお客様の頭の中のスクリーンに投影できるかどうか」

ではないかと思います。

10年間の経営企画室長時代は、新たな価値創造にチャレンジし続けることが使命ともいえるベンチャー企業だったということもあり、まあ、色々なチャレンジがありました。
もちろん、うまくいったものもあれば、そうでなかったものもたくさんあります。
というか…うまくいかなかったチャレンジの方が多かったようにも…。

今になって思えば、確かに分かれ目は、「お客様の頭の中に、この商品・サービス・お店ならではの、ハッピーな自分の姿の明確な絵を描き出せていたかどうか」だったと感じます。

私が、特にお店商売の場合、「ストアコンセプト命!」と叫び続け、「なぜお客様はあなたの商品・サービス・お店を利用しなくてはならないのですか?」と問いかけ続けているのも、言ってみれば、だからこそでもあります。

ということを申し上げると、
「じゃ、動画や画像で見せれば話が早いじゃん!」
とおっしゃる方も少なくないのですが…。
結論から申し上げますと、
コンセプトを曖昧にしたままでは、正直、期待するほどの効果はないと思います。
私も施術の動画、結構つくりましたが、結論として、

「動画は、施術内容の説明効果は高いものの(どういう内容かをお見せすることによる安心効果は高いとは思います)、お客様がご自身のハッピーシーンを明確に投影する効果は、それほど高くない」

と実感しました。(読者の中に、動画屋さんがいらっしゃったらごめんなさい、要は適切な目的をもって利用しないとということで…)
なぜそうなのか…

人は動画を見せられると、その動画そのままを頭にインプットするわけで、そこでは、自身の「想像・イマジネーション」が刺激されづらいようなのです。特に、施術シーンを紹介・再現する動画。
早い話が、その動画の中のストーリーが、何かテレビドラマやテレビCMを見ているような感覚で、自分事とはなりづらいようなのです。画面の中で施術を受けているお姉さんが、自分とは重なりづらいという感じで。
そのストーリーが他人事のように感じられる可能性が高いということですね。自分事とならない限り、お客様は利用したくならないでしょう。

伝えたいハッピーシーンをお客様に「自分事」として認識していただくためには、お客様のイマジネーションを刺激する必要があります。想像させる必要があるのです。

その効果は…動画や画像より、文字の方が期待できると思います。

もちろん、だらだらと単なる言語としての文字ではなく、

その商品・サービス・お店ならではのハッピーを端的に表現した力強い一言。
「それって、どういうこと?」と思わず聞かずにはおれないような、好奇心を刺激するフレーズ。
それでいて、ご自分のハッピーな様子が、頭の中でビビッドな絵として浮かんでくる言葉。

これこそが、コンセプトだと思っています。

そう考えれば考えるほど…、

「会いにいけるアイドル」

というコンセプトは、見事としか言いようがないですね。

ところで…あの事件以降、このコンセプトはどうなっているのかしら…。

タブーな質問

私のお仕事、お客様とお会いしている時は、ほとんどがヒアリング、ないしは、インタビュー形態となっています。
つくづく思うに…
その際、してはいけない質問は、

「こちらの”強み”はなんですか?」

というもの…。
特に、業務開始早々にこの手の質問をすることは、私的にはタブーと確信しています。
まあ、「弱みはなんですか?」と聞くことにくらべれば、まだマシですが…。

「え?教科書と違う!?」
と、今お感じになられた方はいらっしゃるかもしれませんね。

理由は単純なことで、「強みはなんですか?弱みはなんですか?」と事業者さんご本人にお聞きすると、お相手の意識が“内”に向かうからです。”内”に向かうと、出てくる発想は、提供者側の目線のものになります。

教科書では、「自社の強みを活かして、○○を…」的に説かれていますが、結果としてはそうなるとしても、そこに至るプロセスで、その教科書どおりに進めると、顧客視点からズレてしまう恐れが高まります。

どうしても強みなるものを知りたければ、すべき質問は、

「こちらのお客様は、こちらを利用して、なんとおっしゃっることが多いですか?」

であって、それも、表面的に聞くのではなく、「それってどういうことですか?」と掘り下げていくことと、実務的には思います。

特に、創業者には、「あなたの強みはなんですか?」は、タブー中のタブーと考えています。そもそも、補助金等の所定のフォーマットに強みという言葉の使用が義務付けられている時以外は、できるだけ、その言葉も使わないように気を付けています(かわりにリソースという言葉を使います)。
創業者にこそお聞きしなくちゃいけないのは、「なぜお客さんは、あなたのお店を利用しなくてはならないのですか?」でしょう。書けと言われて書ける程度の「強み」なるものは、わざわざ聞かなくても、おそらく、ヒアリングの中で、放っておいても出てくることが、多いです。

教科書と実務、どちらが上とか下とかではなく、それぞれの限界を知りつつ、「そもそもの目的」を見失うことなく、成果につなげていくことにフォーカスすることが大切なんでしょうね。
自戒の念も含め…。

さ、梅雨もあけ、皆さんのご商売もサマーラリー!…といきたいところですね。。。

これが繁盛店になるためのシナリオです

 繁盛店になるシナリオは、もちろんひとつではなく、いろいろあることでしょう。
山頂に至る道が、色々あるように…。

その中で、私が5年間のコンサルティング活動と、10年間のサービス業系ベンチャー企業の経営企画担当役員としての現場経験、そして、その後からここまでに至るまでの2年間の診断士・社外経営企画室としての経験からして、数ある道の中でも、私なりに、「この道じゃないかと…」というものが、体系化されてきました。
ひとつひとつのパーツは、これまで述べてきたことばかりなのですが、この機会に、整理しておきたいなと思って、今、これを書いています。

フェイズ1:「お客様は、なぜ、当店を利用しなくてはならないのですか?=当店ならではの、新たな、お客様にとっての価値(ハッピー)は何?」をつきつめること。
「繁盛店になるための魔法のクエスチョン」Q1ですね。Q1をつきつめれば、同時にQ2の「その価値でハッピーになる方」像も明確になってきます。これを一番最初に考える必要があるのは、現代の消費社会は、「あらゆるものがあるコモディティ化社会であること」、「情報過多により、ほとんどの消費情報がそもそも情報として認識されていないこと=むしろ、消費者は受け付けない傾向あり」、「消費者自体が何が欲しいか明確でない」等の状態であるからです。
こんな状態の中で、自店をご利用いただくためには、そもそも、商品・サービス提供者側が、「お客様が利用しなくてはならない理由」を明確に認識していないと、お客様はもっとわからない=利用しないからです。
このフェイズでのポイントは、だいたい以下のようなところです。

①価値は(メリット・ベネフィットではなく)ハッピーで考えること
 お客様が買っているのは、その商品・サービス自体ではなく、それによって手に入れることができるハッピーです。目に見えやすい、メリット・ベネフィットではなく、それらも含めたハッピーであると考えること、ここが、大きなポイントです。
 尚、「お客様が買っているのは商品・サービスである」との観点は、それ以前の問題、特にお店商売の場合、致命傷というか、どん詰まり状態に陥りやすい危険な観点と、私は考えています。

②ホンモノであること=生きざまがあらわれていますか?
 今のお客様は、お店側の本気度に対して、非常に敏感です。「こんなハッピーがありますよ~」というお店の言葉が、思い付きや嘘とわかった場合、3倍返し(?)のしっぺ返しとなる恐れがあります。
 人は、その人のことを、「過去どういうことを、どうやってやってきたか、そして今、どれだけ本気でやっているか」で判断します。ここに至るまでに、成功もあれば失敗もあったと思います。うれしかったこと、悲しかったこと、ゆずれなかったこと等、色々な思いや出来事があって、今のお店になっているはずです。それが感じ取れるか、言っていることと整合性がとれているか、お客様は敏感に感じ取ります。
 このことから、私はまず、事業者さんから、ここに至るまでの経緯を、ザックバランに、かつ、かなり細かいところまでお聞かせいただいています。4時間~6時間、メモを取ることもほとんどせず、ただひたすらお話をおうかがいします。それをICレコーダーに録音させていただき、その後あらためて聞きながら、時には(結構な割合ですが)テープ起こしをして、改めて、その事業者さんの想いをできるだけ“感じる”ようにしています。

フェイズ2:お客様にとってのハッピー価値を実現する手段として、商品・サービスを含め、ビジネスモデルを組み立てること
 実現すべき価値が先、商品・サービスはそれを実現するための手段のひとつ、ビジネスモデル全体の中での一要因であるととらえること、この観点にたてるかどうかは、業種業態にかかわらず、繁盛店になれるかどうかの分かれ目と言っていいと思っています。
 価値は、口で言っているだけでは実現できません。あたりまえです。でも、その価値を実現するために、とんがらせる必要があるのは、必ずしも販売商品・サービスだけではありません。その商品・サービスの提供の仕方かもしれませんし、お客様との関係性からかもしれませんし、お値段かもしれません。そして、そのどれをどれだけとんがらせるか、そして、それに必要なリソースをどう手配するかを設計する必要があります。言ってみれば、「魔法のクエスチョン」シートのQ3に相当しますが、実務的には、ビジネスモデルキャンバスを使って組み立てることもあります。フレームワークは好まない私ですが、このビジネスモデルキャンバスというフレームワークは、現代の消費社会にとてもマッチした優れものだと感じています。

フェイズ1がどちらかというと、人の感情をメインとしたエモーショナルなものが中心となるのに対して、このフェイズ2は、ロジカル中心の設計となります。

ここまでが、言わば、ビジネスの設計部分となります。創業の方の場合は、創業計画の核部分、既存店の方の場合は、矯正すべき骨格の背骨部分・基本設計になります。

フェイズ3:基本設計の内容を、現実のものとする。
 この部分は、どちらかというと、事業者さんに、その道のプロの実務者として、持てる腕を思う存分発揮していただく段階です。いわば、オペレーションの部分です。理・美容室なら理・美容師さんとしての腕、飲食店なら調理・接客のプロとしての腕、エステサロンならエステティシャンとしての腕、そして、クリンリネスや素材の選定・調達・管理等、お店を運営するにあたってのオペレーション部分です。
 オペレーション部分において、特に、商品・サービスの質・レベル等運営に直接的なものに関して、私の様な社外スタッフを活用しなくてはならないようですと、正直、繁盛店を狙う以前の問題なのかなと思いますので(雇用管理・資金管理・業績管理的なものは除く-社外に依頼した方が得策なことは多々あります)、ここでは省略します。
 商品・サービスの質・レベルが、そもそもそれなりの水準以上に達していることは、繁盛店を考えるにあたっての前提条件であり、実際、私のもとには、この段階におけるご相談は皆無に近い状態です。
 考えてみれば、あたりまえですよね。私に「美容師やエステティシャンとしての腕や商品の内容のこと」についてのアドバイスを期待するようでは…プロとしての鼎の軽重を問われても仕方がないのかなと思いますので。

フェイズ4:伝わるように伝える設計と実行
 せっかくのお店の価値も伝わるように伝えないと、価値になりません。そもそも、価値はお店側にあるのではなく、お客様側にあるもの、お客様が価値と感じないと、価値じゃないですから…。
 ポイントは、以下の2点と考えています。

①徹底して伝える
 明らかになった「お客様にとっての価値」を端的に表現したメッセージ=ストアコンセプトに、お客様とのすべての接点を統一化し、繰り返し繰り返し表現することです。
 その際、従来の広告宣伝の考えの中で、時代にあっていないものは頭の中から一旦排除いただいた方がいいと思います。具体的には「認知度さえ上がれば、売れる」という考えにこだわることは、危険と考えています。
 「認知度さえ上がれば…」にこだわっていると、「ドーンとキャンペーンを宣伝して集客すれば」という考えが生じやすいようです。「ドーンとキャンペーンを宣伝して」は、大企業にまかせておいた方がいいでしょう。
 「ドーンとキャンペーンを宣伝して集客」しても、キャンペーンが終われば元の木阿弥になりやすく、しかも、経費負担も馬鹿にならないことが多く、私達中小・小規模事業者にとって、得策とは考えづらいと思います。
 「明確なお客様像に対して、繰り返しコチョコチョ」の方が、経験的にも、どうやら私たちにとっては得策のようです。

②伝わることは…「共感・感動・自分事」
 お客様にとっての価値・ストアコンセプトを表現しようとする時、多くの方がおかす失敗は、それをいきなり理屈で説明しようとすることです。お客様が理屈を聞きたいと思う時は、それ以前に、「ココロが動かされていること」という前提条件が整っている必要が多いことが、現実的には圧倒的多数でしょう。厄介なのは、その「ココロが動いている状態」というのが、無意識状態の感情レベルのことであるが故に目に見えない、わかりづらいということで、目に見えやすい・頭で理解しやすい「理屈」を優先して述べてしまいがちになるということです。例えば、「当店には、こうこうこういうお客様にとってのならではの価値があります」とのメッセージの後に、「そのこころは」という流れから、「商品・サービスのUSPやウリや特徴」をいきなり説明してしまいがちになるというようなことです。
 説明は、説得と解釈される確率が高いです。現代の消費者の多くは、説得されて買いたくはないのです。共感して買いたいのです、感動して買いたいのです、自分事として買いたいのです。だから、理屈を語る前に、きちんと、”共感・感動・自分事”をお伝えした方が、お互いにとってハッピーなのです。
 私としては、そのひとつの表現方法として、「感動ストーリーテリング」を使うことが多くあります。
 まずココロを動かして聞いていただける状態になってから、理屈を聞いていただく…すべてがそうあるべきとまでは思いませんが、それが原則と考えています。感情と論理…いずれもが大切で、その融合に留意することが、とても大切と考えています。

 この2点に留意しながら、ホームページはどうする?ポスティングは?インストアマーケティングは?というように、具体的アクションの設計に移っていきます。
 ただし、その実行に関しては、フェイズ3同様、オペレーションの一環となりますので、事業者さんにお願いしています。

 

以上が、ここのところの私の業務の主流となっている進め方です。
これに、財務(財務分析とかじゃないですよ、早い話が資金調達・返済等資金繰りにつながるところ)のお仕事も時には附随してという感じになっています。
こうやって考えると…私がやっていることって、繁盛店になるための、基本的な地図づくりのお手伝いなのかな~と感じます。
ひょっとしたら、その地図は、一般的な地図とは、平面地図vs3D地図ぐらいの、見え方の違いはあるのかもとも感じています。

長文になって恐縮です。
もし、ほんの少しでもご参考にしていただけるところがあれば、幸いです。

『Y Fleur Doree(イグレグ フルール ドレ)』の金本さん

7月16日付、日経産業新聞で、神戸三宮さんぷらざ2階にある『Y Fleur Doree(イグレグ フルール ドレ)』の金本耶絵子さんが、写真入りで紹介されました。

文中にある診断士は、恥ずかしながら、ハイ、私です。認定支援機関をつとめさせていただいています。
記事では、「ドライ加工した花やアクセサリー」を販売とありますが、プリザーブドフラワーとアクセサリーが別々にあるのではなく、これらが一体になった、金本さんならではの、と~っても可愛いアイテムが、フルールドレなんです。
こんな感じです。↓

ご要望があれば、イージーオーダースタイルでもOKです。

いろんなパーツの中からお好みをチョイスして…

ひとつひとつ手づくりで…

もうすぐ完成…

ハイ、できあがり!

こんな感じで♪

「お花も、アクセサリーも大好き♪」
という女性の方は多いと思いますが、その両方がコラボして、一緒に楽しめるんです。
このちょっとしたウキウキ感がこのお店ならではの、顧客価値なんですね。

金本さんは、これまで長く、お花屋さんと、アクセサリーショップで経験を積んできました。
販売スタッフとしてはもちろんのこと、制作、仕入etc…
その現場での経験の中で、「プリザーブドフラワーとアクセサリーのコラボ」という事業発想が生まれてきました。

プリザーブドフラワーというと、一般的にはやはりお花屋さんで、あくまでも“お花の中の選択肢のひとつ”として位置づけられています。で、そのお花屋さんですが、正直、フラッと立ち寄るにはまだまだ敷居の高さ感というのがあるのも事実でしょう。
結婚式とか、なにか特別なことがある時ぐらいしか、お花屋さんを訪れることがない方も、少なくないのではないでしょうか?
当然、プリザーブドフラワーにふれる機会もそれに比例して…

金本さんも、お花屋さんの現場でそのことを強く感じていて、「せっかくのプリザーブドフラワーの本来の魅力が伝えられていないようで…」との思いを持たれていました。

方や、アクセサリーショップは、フラッと立ち寄ることができますし、見るだけでも楽しい。
お花屋さんにはない入りやすさがある…。

「プリザーブドフラワーも、アクセサリーも大好きな女性はきっと多い、じゃ、その二つをコラボさせて、どっちも楽しめるアイテムにすればきっと楽しいはず♪お店は、アクセサリーショップ感覚で入りやすくすれば…」

これが、事業の着眼点となりました。
なるほど、彼女らしい、現場発の切り口、ありそうでなかった、“ならではの、新たな”業態です。
それと…神戸らしい業態ですよね♪

神戸の方はもちろんのこと、神戸以外の方も、どうぞ、応援してあげてください。

尚、余談ですが…
私と彼女との接点ですが、その彼女が勤務していたお花屋さんと、私が10年間経営企画担当役員をしていた某ベンチャー企業創業店舗とはお向かい同士で、そういったご縁もあり、その企業の社長(言ってみれば私の旧ボス)に金本さんが創業にあたってご相談なさり、そのご縁で、私が認定支援機関としてお手伝いすることになったというのが経緯です。
そのお花屋さんには…“てっちゃん”という、とっても立派なチンチラがいます。
てっちゃん、元気かしら…。

新たな価値の創造にチャレンジする創業者にとって…
やはり、先輩起業家は、相談相手としてイメージがわきやすいんでしょうね。。。

耶絵ちゃん、ガンガレ~!

創業計画策定にあたっての常識…でも、それってひょっとしてズレてない?

なんとまあ、2か月も更新をサボっていました。
「もうブログは閉じたと思ってた」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが…
すいません、6月いっぱい、猛烈に忙しくて…。
例の小規模事業者持続化補助金、創業補助金、これらについてはまた折を見て別途ということで…。

どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。

以前から感じていたことですが、私が関与先様でご提供している業務のほとんどは、これまで何度もご説明しましたとおり「なぜ、お客様は、あなたのお店を利用しなくてはならないのですか?」を掘り下げていくことが中心となっています。
私としては、ごくあたり前のことをさせていただいているんですが、関与先さんからは、「そういう発想でものごとを考えたことがなかった」と、よく(ほとんど)お聞きします。
もちろん、「当店のいいところ、アピールポイント」はほとんど全員きちんとお考えになられているのですが、

「なぜお客様は…(途中省略)…できるだけワンセンテンスで教えてください」

とお尋ねすると、ほとんどの方が、考え込まれ、「あらためてそう問われると…」となります。
やはり、私は一般的常識からはずれているようです(笑)。

一般的常識からのズレは、どうやら創業(事業)計画策定に関して、最も強く感じます。

私自身、もう何年も前ですが、ある商工会議所で創業塾で講師として仕事もしたことがありますし、受講生として受講したこともあります。
おそらく、一般的な創業計画の策定手順においては、多くの場合、

「どういう事業か、まず、5W2H(or1H)で整理しましょう」

というところから始まると思います。いわば、創業計画策定の常識というものと言えましょう。
その中でも特に重要視されるのは、「何を」、「誰に」、「どのように」と、「なぜ」のようです。
ごもっともなことで、そのこと自体異論はないのですが…

問題は、この「何を」をどうとらえるかで、一般的常識と私との間では、どうやら、とても大きな差があるようです。
言ってみれば、入口段階で既にずれているということなのでしょうね。

一般的には、「何を」は、販売する商品・サービスととらえ、「どのように」の中で、いわゆるマーケティングという分野を考察し、そのマーケティングの一要素として、「なぜお客様は買わなくてはいけないのか」を位置付けているようです(セールスポイントと混在している時はありますが、そのことについてはここでは省くとして)。

これに対し、私は、「何を」を、お客様にとっての価値、すなわち、このビジネスならではの顧客価値としてとらえ、それを「どのように」実現するかにおいて、販売する商品・サービスを位置付けています。

おわかりいただけますでしょうか?
商品・サービスと、顧客価値の位置づけが、まるっきり正反対になっているのです。

言ってみれば、一般的通説においては、商品・サービスが中心で、それを売っていくために、どうしていくかが計画の軸になっています。

これに対しては、私の計画策定のあり方は、顧客価値が中心で、それを実現するために、どんな商品・サービスが必要で、その価値をどうやってお客様に受け入れていただくかが計画の軸になっているのです。

私も以前は、一般的進め方で事業計画を書いていました。
支援者としてだけでなく、10年間の事業推進当事者としても…。
その結果、私が至ったのは、商品・サービスからはじまる事業計画は、ビジネスの現場実態から、年々ずれていっているということでした。
商品・サービスが足りていない時代なら、商品・サービスを主体として計画を考えるのは合理的ですが、現代は、既にあらゆるモノ・サービスがありふれている時代、消費者自身が、「なぜ買わなくてはいけないのか」がよくわからない時代となっています。その中で、従来通り商品・サービスを起点として計画をくみたてるのは、はたして合理的かというと…どうなのでしょうか?
特に、これから市場にうってでようという創業者の場合、どうなのでしょうか?

そもそも創業計画をつくる目的って、事業をできるだけ順調に立ち上げるためにつくるもの、事業が立ち上がり、順調に推移していくためには、そもそも商品・サービスが売れないとお話にならないわけで、であるなら、創業計画は、「お客様が買いたくなるシナリオ」が軸となるのが、合理的だと思うし、現場の実態に即していると思うのです。

考えてみれば、創業計画を含む事業計画のフォーマットというのは、もう何年も、何十年も大きな変化を見せていないように思います。私が診断士になって今年で既に18年、その間にいろいろなフレームワークがあらわれてきました。それ以前のものも含め、現在の事業計画のスタイルに影響を与えるものとしては、SWOT、3C、4PやBSCetc…。でも、事業計画の基本的構成や軸は変わっていないように思います。
よくよく考えると、これらフレームワークの多くは、効率性重視の工業社会で生まれてきたもの、そこでは、モノが中心です。
今はどうなのでしょうか?もちろん、モノは大切ですが、少なくとも、消費の現場においては、中心は移行してきているのではないでしょうか?

金融機関へ提出する際とか、補助金やビジネスコンテストに応募する際は、予めフォーマットが指定されていることが多く、そのフォーマットのほとんどは、従来の一般的フォーマットとなっているのが現実です。ところが一方では、消費の実態は変化している。結果、両者間のズレは、拡大の一途を辿っているのでは?という気もします。
もちろん、融資や補助金採択という成果を手に入れるためには、フォーマットにあわせて、その審査基準にあわせて策定することは必要ですが、だからといって、消費市場とズレのあるものを策定して、それを羅針盤にして船出するのも、なにか違うように感じます

聞くところによると、今後、各地で創業塾・スクールが数多く開催されるのだそうです。
そこでは、やはり、従来型の事業計画づくりが主流となるのでしょうか・・・。
大変生意気なことを申し上げる様なのですが、講師の皆さま方、主催者の方々には、どうぞ、本来の「商売」のための塾の構成を、お願いできないものかと、強く願う今日この頃です。。。

それでは、また。。。

『保証時報』5月号に、ご掲載いただきました。

兵庫県信用保証協会の機関誌『保証時報』5月号に、私の論をご掲載いただき、昨日、お送りいただきました。

お題は、例によって『繁盛店になるための魔法のクエスチョン』です。

表紙です。

掲載ページです。

お気づきになられたかもしれませんが、この3つの質問は、いわゆる「何を・誰に・どのように」の形になっています。
ただし、「何を・誰に・どのように」の一般的使われ方とは、ちょっと異なっています。

最大の相違点は、「何を」の解釈です。一般的使い方では、これを、商品たる”モノ・サービスそのもの”と解釈しているケースがほとんどでしょう。
魔法のクエスチョンでは、”お客様にとっての価値=顧客価値”ととらえています。
考えてみれば、お客様は、モノ・サービスそのものをお買いになるわけでなく、それによって手に入れることができる結果をお買いになるわけですので、「何を」を顧客価値とするのは、理に適っていると思います。

この、「何を」を“モノ・サービス”とするか、“顧客価値”とするかで、その後の「どのように」の内容は、全くの別物となります。
“モノ・サービス”ととらえた場合、販売手法or形態・販売促進策等が主体となることが多いようです。
“顧客価値”ととらえた場合、ビジネスモデル全体を俯瞰した上での、トンガリづくりとなります。

本文にも書いてありますが、この基本的質問に対する回答を曖昧にしたままでは、せっかくの販売促進策も効果が見込めません。いわば、事業の軸とも言うべきものです。
ところが、この軸を曖昧にしたままで、広告・販促でなんとかしようと悪戦苦闘されている方がなんと多いことか…。
曖昧にしたままで、あるいは、軸自体が既にコモディティ化・陳腐化しているにもかかわらず、流行りの広告・販促手法を渡り歩いていらっしゃる方が、なんと多いことか…。

もちろん、そういった広告・販促手法も大切でしょう。
「せっかく、その手法になにがしかの投資をなさるのなら、その前に、軸をしっかり見直されたらいかがでしょうか?」
というのが、この掲載を通じての、私からのご提案です。

創業補助金と小規模事業者持続化補助金

創業補助金と小規模事業者持続化補助金、いずれも採択者が発表となりましたね。
(創業補助金はこちら、小規模事業者持続化補助金はこちら

私関係では、前者が3件中2件、後者が4件中3件のご採択となりました。
採択された皆さま、よかったですね。
残念ながら、1件ずつ、選に漏れるという結果となってしまいましたが、そのいずれも、事業自体はとても楽しみなもので、既にお客様も増えてきている事業者さん、たまたま補助金の性格にあわなかったというだけ、ぜひ、これからも益々繁昌なさることと、確信しております。

採択案件から、それぞれの採択にあたっての着眼点の傾向が、確かに見て取れる気がします。
創業補助金については、次回の締切が来月末なので別の機会で述べさせていただくとして、ここでは、今月締切の小規模事業者持続化補助金について、述べさせていただきます。

商工会議所分と商工会連合会分とで若干の差異はあるかもしれませんが…

「販売促進のための補助金ではない」ということが、これで明らかになったと思われます。
販売促進のための補助金ではなく、まさに、要項にあるそのままのとおり、「販路開拓等」のための補助金だということです。

まず、この販路開拓が何を意味するのかの解釈のあり方で、その後が大きく変わります。
要項に、<補助対象となりうる取組み事例のイメージ>として、
①販促用チラシの作成、配布 ②販促用PR ③~⑨(以下省略)
と列挙されていますが、どうやら、販路開拓とは、この①~⑨のことと理解してしまっている事業者さんが多いようです。

これらは、単なる手段であって、販路開拓そのものではありません。したがって、販路開拓等につながらないものは、効果の高いチラシであろうがWEB広告であろうが、補助対象とはなりがたいとなります。
「この補助金は、大概の販促活動が対象となる」とおっしゃっておられる士業等支援者さんのお話も耳に入ってきたりしますが、その中には、同様の解釈ポイントがずれていらっしゃる恐れのある方も、決して少なくないのでは?と感じています。

はい、「販路開拓する!」がまずありきなんです。

販路開拓のためには…、そうですね、そもそも開拓すべき販路、言い換えてみるなら、顧客層とか顧客の塊像が明確になっていないと、やろうとしていることが、そもそも販路開拓をしようとしているのかどうかが、曖昧になりますよね?
開拓すべき顧客像を、現場レベルのビビッドさで明確にすること、これが、第一のポイントでしょう。

次に、その開拓すべき顧客層が、そもそも本来開拓するのが妥当or業績面において効果が高いのかが、ポイントになることでしょう。
そのために、顧客ニーズや市場の動向を、これまた現場視点で整理する必要があるのです。
だから、ここで必要なのは、必ずしもSWOT分析ではないと、私は認識しています。
むしろ、SWOTというフレームにとらわれてしまうと、なんか表層的なものになってしまう恐れがあります。
我々小規模事業者にとって、特にお店商売にとっては、環境分析云々より、日々のお客様との接点の中で生じている現象の中からヒントを見つけることの方が、より実務的です。

もちろん、SWOTもいいツールなのですが、とらわれすぎてはいけないということかと。
実際、今回採択された私関係の3件は、いずれもSWOTというフレームワークは使いませんでした。
それよりも、事業者さんと、日々のお客様との接点の中でのちょっとした変化を、聞き逃さないようにしました。3件とも、そこから機会なるもののヒントらしきものを見つけ、必要であれば、それの裏付けとして、いわゆるSWOTなんかでよく出てくる外部環境分析的なものを補足しました(あくまでも、私のやり方ですので、他にも多種多様なやり方があると思います)。

その次のポイントは、「では、その顧客層を開拓するのに、やろうとしていること、方針、手段が適切かどうか」、そして、「それを実現するに足る、これっていうリソースが当社にあるのか」ということかと思います。
で、そのエビデンスとして最も大事なものとして必要になってくるのが、その事業者の、“唯一無二”と言っていい、真のUSP、言い換えるなら、真の強み。

そして、最後になって出てくるのが、商品開発や販促策等の具体的内容ということになります。

この補助金の経営計画書に書くべきこと、抜かしてはならないことは、これらの一連のシナリオです。
一部に、「数値を書かなくてはいけない」とか、金融機関や士業の世界では一般的な中期経営計画的なものである必要がある的な声もお聞きしますが、求められているのは、それよりもむしろ、上記のシナリオだと思います。

以上、あくまでも私の個人的な見解ですが、もしご参考になれば幸いです。

尚、「販路開拓等」の”等”が何を意味するのかはハッキリしませんが…
私は、新商品の開発・新分野への進出じゃないかなと理解しています。
ハイ、あの方の受け売りです。。。

それでは!

PS.ご注意!一部、創業補助金と小規模事業者持続化補助金の併給が、経費がかぶらなければ可能と認識されていらっしゃる創業者さん、認定支援機関さんがあるようです。念のため、創業補助金事務局にも確認しましたが、併給はできませんので、ご注意ください。
というか…これに限らず、なにかイレギュラーなことがあったら、事務局にご相談・確認するスタンスは、大切だと思います。

フレームワークの功罪-小規模事業者持続化補助金にも関連して

各地で、持続化補助金に関連した経営計画セミナーがたくさん開催されているようです。
とてもいいことですね♪
それにつれて、この補助金を、「販売促進のための補助金」とする等の、少々ずれた観点の方は減ってきたようです。

かわって出てきているのが、フレームワークあてはめ型観点かな~と、そして、「これはこれで、ちょっとウ~ン」と感じたりしています。

確かに、持続化補助金の書類フォーマットや審査項目を見ると、フレームワークにそっているように見えると思います。
特に、SWOT分析なるもの。
おそらく、多くの「経営計画セミナー」で講師をお努めになられているのは、診断士の諸先輩方かと思うのですが、診断士である私が言うのもなんなのですが、診断士の業界では、どうもこのSWOT分析が必須の、時には万能道具のようにとらえられている傾向も、多少はあるのかなと感じています。

なかには、まるで方程式や機械のように、強み・弱み・機会・脅威の4つの入力欄に記入し、クロス分析というボタンを押せば、「あ~ら不思議、進むべき道があらわれます」的に思われている方も、ひょっとしたらいらっしゃるのかな~と危惧するほどです。

以前にも述べたことがありますが、SWOT分析で、新たなモノ・コトが創造されることは、まずありません。
SWOT分析のみならず、他のフレームワークの多くもそうです。
フレームワークは、創造ツールではなく、整理ツールであり、現実に使われるシーンは、創造された後のアイデアの金融機関等への説明や企画書内での記述、検証のシーンがほとんどでしょう。
これはこれで大切なシーンであり、したがって、フレームワークを知っておくことは大切だと思いますし、使える様にしておくことはとてもいいことだと思いますが、整理ツールを、創造が必要なシーンにあてはめるのは避けなくてはいけないことです。

小規模事業者にとって特に必要なのは、整理や説明ではなく、知恵です。
知恵は、フレームワークの中にはありません。PCの中にもありません。お客様との接点にあることがほとんどかと思います。
そもそも、フレームワークのほとんどは、大企業の世界から生まれてきたという経緯があると思われ、小規模事業にとって必ずしも効果的であるとは、実務的にもなかなか考えづらいところです。

あのフォーマットを最初に見たときは、私も、「あ、SWOT?」と感じました。
でも、小規模事業者関連の昨今の動きを私なりに見るにつれ、そんな単純なものではない、もっと奥の深いものであると感じる様になりました。

あの経営計画書で本当に求められているのは、SWOTで整理することではないでしょう。クロス分析をすることでもないでしょう。
求められているのは…

唯一無二と言っていい真のUSPをリソースとして、いかに新たな、ならではの顧客価値を創造するかの知恵

ではないかと、私は感じています。強みを並べるのが重要なのではなく、新たな顧客価値を創造する知恵です。そもそも、強みなんぞ、お客さんにとってはなんの興味もないこと、興味のあるのは、「自分にとっての価値」です。

そして、その経営計画づくりをお手伝いする立場に立つとしたら、その役割は、文章作りではなく(付随して担うことはあっても)、フレームワークを駆使することでもなく、その事業者さんの真のUSPを引っ張り出し、現場にある新たな顧客価値のヒントを明らかにして、時には事業者さんと一緒に現場視点にたって浮かび上がらせ、キュッと明確な価値として組み上げていくスタンスなのでしょう。

実に奥が深いフォーマットと、私には思えます。

PS.経営計画セミナーでは、SWOT分析の活用を紹介なさっている講師の方は多いとは思いますが、上記のことは、それ自体を否定しているわけではないこと、念のため、補足させていただきます。
不特定多数の受講者に対して経営計画をに関する話をする際は、確かにSWOT分析は知識としては紹介して然るべきものですし、私が講師の立場であったとしても、やはりそうするでしょう。
問題は、その単なるツールに対する過信は、思考が浅くなる(あるいはワンパターン化する)等の弊害を生み出す恐れがあるということです。どうぞ、ご理解のほどを…。

まずは、この流れをしっかり把握なさることをおススメします!

以前から何度かご紹介している小出センター長率いるf-Bizの活動について、実にわかりやすく、紹介されている記事がありましたので、ちょっと拝借してご紹介させていただきます。

岡崎ビジネスサポートセンター OKA-Biz
チーフビジネスコーディネーター 秋元祥治さん記事
内容はこちらからどうぞ

くどいようですが、小規模事業者持続化補助金をご検討なさる方は、この記事にもある「支援フロー」と、要項にある「鱈バーガーと鱈チップス」の事例とを比較してみてください。
ここで求められている計画がどういった性質のものをイメージされている可能性が高いか、うかがえるのではないかと思います。
少なくとも…本質的には、「ホームページやチラシ作成等の販売促進のための補助金」というわけではないということが読み取れるのではないかと思います。

それでは!