医療でも物語の力
知る人ぞ知ることですが…
私は、コンサルティングファームでの修行時代、病院を主体としたコンサルティング活動をしていました。1990年代後半のことです。
その時代、よく言われていた言葉に、「EBM(evidence based medicine)」というものがありました。
EBMとは「根拠(証拠)に基づく医療と訳され、数多くの確実な臨床試験で有効性の根拠がはっきりしている薬や治療法をいう。」(yahoo辞典)で、ある意味、論理を極める医療というニュアンスを感じていました。
私は、その数年間、たくさんの医療関係者の方々とお会いし、医療の世界における論理の大切さも実感しており、特にドクターについては、こと仕事に関しては、社会の中で最も論理的能力が要求され、かつ、それを有している方々と実感していましたので、EBMという考え方が広まっていくことについては、「そりゃ、そうだよね」と思っていました。
その後、大波小波を経て、今、運命に導かれる様に理美容サービス業を主対象として活動しているわけですが、先日、医療の世界では近年、EBMと並んで、NBM(narrative based medicine)というものが広まっていて、かつ、それに依った医療活動も多く行われていることを知りました。
NBMとは、「《物語に基づく医療、の意》。患者が語る病の体験を、医師が真摯に聞き、理解を深め、また対話を通して問題解決に向けた新しい物語を創り出すこと。医療の質の向上、治療の促進が期待される。」(大辞泉)です。
ちょうど、私も、これまでのいろんな経験の中から、経営のいろんな場面における「物語を語る(ストーリーテリング)」効果の高さを確信、自身の活動でも具体的、かつ、意識的に活用しはじめると共に、あらためて、その道の師にも学んでいるところだったことも影響してか、ちょっとした驚きを感じました。
「科学・論理が最重要視される(と私が感じていた)ドクターの間にすら、ある意味、論理とは対極とも言える感情的要素がタップリの“物語”の効果の高さが広まってきているのか」と…。
考えてみれば、これって、本当は自然な流れなんですよね。。。
医療も企業経営も、「人」が対象であり、「人」が主役ということは共通、特に、理美容サービス業はそうですよね。
そして、その「人」は、スタートレックのMr.スポックの様に論理だけで生きているわけではなく、むしろ、感情的な存在、であるなら、そこで有効な要素にも、共通点は多いはずですから…。
皆さんの会社、お店にも、語るべきストーリーはたくさんありますよ、間違いなく…。
それは、会社の、お店の、とても貴重なお宝、まさに知的資産です。。。
ところで…
Mr.スポックも、映画やTVの中では、論理だけの存在の様に描かれていますが、不思議なことに、観ている視聴者には、むしろ感情のある、とても人間くさい存在としても感じられますよね。
これも、「物語」の持つ力のひとつかもしれません。