なぜボワ~っとしたイメージだけの訴求は好ましくないのか
小冊子第4章第二条の4で、「イメージで語りかけること自体が悪いというのではなく、そのイメージがボワ~っとしすぎている、あるいは、しっかりとしたメッセージが伝わってこないケースが問題」と書きました。サラッと書いたのですが、実はこの点の理解は実務上、とても重要と思います。 美容室をはじめ、美容サロンの多くは、ファサード・内装はとてもステキで、また、訴求として使っているヘアスタイルや施術の様子の画像などにも工夫を凝らしていらっしゃることが多い様です。これはこれで、正しいと思います。ただ、絶対に忘れてはいけないことがあります。それは、お客様は、購買・選択を自己正当化したいんだということです。「ボワ~」や「メッセージが伝わってこない」場合は、お客様は、この自己正当化がしづらいことになります。第1章で書きましたが、現在の美容系サービス業を取り巻く外部環境で、最も重要視すべき変化は、「コモディティ化」です。世の中にはあらゆるモノ・サービスが満ち溢れ、結果、ありふれたもの(コモディティ)となっています。この様な状況下において消費者は、自身の欲しいものすらわからない状態となっています。サービス提供者側は、そんな中で新たな価値を創造し(再発掘含め)、購買を働きかけていく必要があります。ある意味、衝動買い的購買の訴求が求められてきます。 その衝動買い的行動を、消費者の心理からモデル化すると、下記の様になります。
「刺激」→「衝動」→「葛藤」→(正当化できた場合)「購買」or(正当化できなかった場合)「非購買」
もちろん、現実はもっと複雑なのでしょうが、単純化すると、なるほどと感じます。 実例をあてはめてみましょう。例えば、こんな感じでしょうか?
「刺激」…感じのいいファサード・外から見える内装、ステキなヘアスタイル写真、自分の感性にあいそうなオシャレなスタッフetc 「衝動」…いい感じの美容室ね♪もうそろそろカットしたいと思ってたから、今度試しにこのお店を利用してみようかしら
ここまでは成功ですね♪問題はこの後…。
「葛藤」…でも、はじめてのお店だし、失敗したらどうしよう…ちょっと不安…。
で、お客様(見込客)は、「自己正当化」の情報を得ようとします。「なぜ私がこの初めての美容室を利用しなくちゃいけないのか」の情報です。 ところが、その適切な情報がお店側が発信していない、弱くてお客様に届かないなんてことになると、お客様はご自身の選択を正当化できず、「非購買」=「やっぱり、いつもの美容室にしておこう」となります。 この自己正当化を促す情報、価値情報が少ないお店が、非常に多い様に感じます。こういった「意味合い」の情報は、言語の方が伝わりやすいと言われています。もちろん、言語以外での伝達方法でもいいのでしょうが、大切なことは、「力強く伝わっているか」ということです。 発信するためには、そもそも、お店側が自分達の価値をきちんと整理し、理解しておく必要があります。だから…、「価値の洗い出し」が必要なんですね。洗い出しの前に、いきなり「チラシ、SNSetc」では、折角の投資が無駄になりかねないですよね。
経営者だけでなく、お店の皆で、「お客様に後悔させない情報を事前に」たくさん考え、それをきちんと発信していく、そうありたいものですね。