これは使えます
以前、特に理美容サービス業においてはフレームワークに基づいた課題解決、経営シナリオ設計は、実務上、あまり役立たないと、あくまでも私個人としての意見ですが、述べました(こちらをご参照ください)。
あちこちで、同様のことを言っているものですから、特に、多くの中小企業診断士の方々から、ご不興をかったりしています(笑)。
とりわけ、試験に合格されて間もない方あたりからは、「実務補修でも、SWOT分析をきちっと使うことを教えられるのに、おかしいんじゃないか?」という詰問(笑)をいただくことも、しばしばです。
それでも、理美容サービスベンチャー企業の現役経営企画担当取締役としての10年間において、フレームワークの効果を感じたことは、ほとんどなかったというのも、偽らざる事実です。まあ、私が未熟な故もあるのかもしれませんが…(笑)。
特に、SWOT分析については、正直、使えたシーンは、ベンチャーキャピタルさんに提出した事業計画書や、ビジネスプランコンテスト・各種認定時の事業計画書を書いた時ぐらいだったと思います。それも、どちらかというと、単なる現在考えていることの説明ツールや検証ツールとしての使い方であり、形式的だったことも少なくありません。少なくとも、SWOT分析から、創造的解決策が生まれたということは、私の記憶するところでは、10年間のうち、正直ありませんでした。
その10年間以前の、コンサルティングファームでの5年間の修行時代も、それに似た感覚であり(当時は、そもそもSWOTは、現在ほどは重要視されていませんでした)、昨年、ひとりの診断士として活動を再開した後も、少なくとも、理美容サービス業にはSWOT分析というフレームワークはなじまないという認識を、さらに強くしています。
誤解をおそれずに言うと…この10年ほどで一般的となったバランススコアカードや、知的資産経営報告書についても、SWOTに対してほどではありませんが、理美容サービス業には馴染みづらいな~と実感しています。
3C(Company、Customer、Competitor)は一般的に使うとは感じていますが、それでも、この3つの「C」は並列でなく、
Customer>Company>Competitor
ぐらいの差はつけたほうがいいと思っています。
このことは、決して、それらフレームワーク自体の本来の要素を否定しているのではなく、フレームワークを、まるで算数の方程式の様にあてはめることになりがちな危険性(その方がロジカルでもっともらしく見えるし、仕事したらしく見えるからという方もいらっしゃるかも)が、感性命の理美容サービス業の特性にそぐわない、現代のコンシューマーの消費特性とのズレが生じていると感じるが故ですが…
そんな、非フレームワーク派の私が、「これは使える!」と感じているフレームワークがあります。
それは…
ビジネスモデルキャンバス
です。
詳細については、ビジネスモデルジェネレーションの公式サイトをご参照いただきたく思いますが、このフレームワークは、創業なさる方や、新規ビジネス・新業態を創造なさる方にとっては、非常に使いやすく、実態にあった“整理ツール”だと思います。
SWOT等、伝統的なフレームワークとの最大の相違点は、フレームワークのど真ん中に、「(顧客)提供価値」を置いていることです。
その「(顧客)提供価値」を実現するための手段として、他の要素を位置付けています。
実務家の方には、実に使いやすいツールと思います。
ただし、このビジネスモデルキャンバスにも、もちろん、弱点はあることでしょう。
その最大のものは、私が現時点で感じているところは、
「では、その肝心の、(顧客)提供価値を創造するにはどうしたらいいですか?」
という問いに対する創造的回答が、このフレームワークでは生まれづらいということです。
逆を言えば…その創造活動を促進する他の「思考方法なりツール」と組み合わせれば、従来の伝統的なフレームワークと比較して、はるかに効果が見込めるのではないか、そう感じています。
私は…以前ご紹介した、
「繁盛サロンになるための3つの質問」
(詳細はこちら)と組み合わせて活用していきたいなと思っています。