やっぱり使い物にならない?新ものづくり補助金
本日、平成25年度補正予算の目玉とされている、「ものづくり・商業・サービス革新事業」、通称「新ものづくり補助金」の募集が始まりました(こちら)。
今回は、商業・サービス業にまで対象が広げられたということで、理美容サービス業の方の中にも、期待する向きは多かったと思いますが…
結論として、多くの小売・サービス事業者にとって、昨年の小規模事業者活性化補助金同様、またしても、肩透かしとなってしまいました。
おそらく、過半数どころか、あくまでも私の個人的感覚ではありますが、9割以上の小売・サービス事業者には非常に使いづらい、というより、事実上使えないと思います(大企業、あるいは、それに近い小売・サービス業は該当するケースは少なくないとは思います)。
特に、理美容サービス業の方々にとっては、“目が点になる”内容となったように感じられます。
多くの中小・小規模小売・サービス事業者の場合、新たな革新的サービスの開発とは、業態の開発になると思います。そこで必要となる投資のほとんどは、機械設備よりも、お店の内装やお家賃、そして、スタッフの人件費になると思います。
昨年まで、同補助金の対象経費は明確に機械等設備となっていましたが、先月公開された同補助金の事業パンフには、商業・サービス業の対象事業例として、レディスシェービングサロンがあげられていました(詳細はこちら)。
このレディスシェービングエステサロン事業…何を隠そう、私が2004年以来当事者の一人として、16店舗の開発に関係してきた事業そのものです。もちろん、2004年に経営革新計画の承認も受けました。
その経験からすると、必要となる投資のうち、機械類への投資は、どうでしょうか、せいぜい100万や200万程度で、あとのほとんどは、内装投資でした。その事業が対象事業として挙げられているということは、ひょっとして、内装も認められる…?
と淡い期待をしていたのですが、本日発表された要項(こちら)を確認すると、やはり、対象となる設備投資は機械設備で、内装は対象となっていません。地域事務局にも、全国本部にも確認したのですが、明確な回答はいただけなかったものの、主旨からすると対象外だろうとの見解でした。この見解のままだと…ほとんどの業態開発は、事実上、対象外となることでしょう。
中小・小規模企業の小売・サービス業で、機械にこれだけ多額の投資をする業態開発って、一体、全体の何割あるでしょうか?
人件費で認められるのも、サービスの開発までであり、せいぜい、お店がオープンするまでのもの、一体、いかほどあるというのでしょうか?
この内容で、この補助金にあてはまるよう事業計画をたてると、多くの場合、様々な点において、無理が生じる恐れが非常に高いと思われます。場合によっては、その無理が、経営に甚大なる悪影響を及ぼす懸念も十分ありえます。
結局のところ、今回のこの補助金の小売・サービス業への拡大は、言い方は悪いかもしれませんが、政策宣伝効果しか実質的には効果が見込めないのではないかとすら感じられます。正直、現場感があまりうかがえない…(泣)
しかし…あのレディスシェービングサロンを具体例として挙げた政策担当者の方に、機会があればお聞きしてみたいものです。「この事業で、さて、この補助金の対象経費となるのは何と何で、いくらですか?その根拠は?」と…嫌われるでしょうね…(笑)
どうか、申請をご検討なさっている小売・サービス事業者の方は、十分すぎるほど十分に、あらためて、じっくりご検討をおすすめします。補助金が、経営を圧迫する事例は、過去においてもよくあったのです。
ただし…今回新たに設けられた小規模事業者枠、これは結構使える事業者さんはありそうとは感じています。
少なくとも、小売・サービス業の「革新的サービス・一般枠」よりは、はるかに実用的と感じます。小規模事業者の方は、1000万とか1500万とかいう金額に惑わされないで、この小規模事業者枠に該当しないかをご検討なさった方が、現実的かなと思います。
その詳細については、機会があれば、いずれまた。。。
では!