創業計画策定にあたっての常識…でも、それってひょっとしてズレてない?
なんとまあ、2か月も更新をサボっていました。
「もうブログは閉じたと思ってた」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが…
すいません、6月いっぱい、猛烈に忙しくて…。
例の小規模事業者持続化補助金、創業補助金、これらについてはまた折を見て別途ということで…。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。
以前から感じていたことですが、私が関与先様でご提供している業務のほとんどは、これまで何度もご説明しましたとおり「なぜ、お客様は、あなたのお店を利用しなくてはならないのですか?」を掘り下げていくことが中心となっています。
私としては、ごくあたり前のことをさせていただいているんですが、関与先さんからは、「そういう発想でものごとを考えたことがなかった」と、よく(ほとんど)お聞きします。
もちろん、「当店のいいところ、アピールポイント」はほとんど全員きちんとお考えになられているのですが、
「なぜお客様は…(途中省略)…できるだけワンセンテンスで教えてください」
とお尋ねすると、ほとんどの方が、考え込まれ、「あらためてそう問われると…」となります。
やはり、私は一般的常識からはずれているようです(笑)。
一般的常識からのズレは、どうやら創業(事業)計画策定に関して、最も強く感じます。
私自身、もう何年も前ですが、ある商工会議所で創業塾で講師として仕事もしたことがありますし、受講生として受講したこともあります。
おそらく、一般的な創業計画の策定手順においては、多くの場合、
「どういう事業か、まず、5W2H(or1H)で整理しましょう」
というところから始まると思います。いわば、創業計画策定の常識というものと言えましょう。
その中でも特に重要視されるのは、「何を」、「誰に」、「どのように」と、「なぜ」のようです。
ごもっともなことで、そのこと自体異論はないのですが…
問題は、この「何を」をどうとらえるかで、一般的常識と私との間では、どうやら、とても大きな差があるようです。
言ってみれば、入口段階で既にずれているということなのでしょうね。
一般的には、「何を」は、販売する商品・サービスととらえ、「どのように」の中で、いわゆるマーケティングという分野を考察し、そのマーケティングの一要素として、「なぜお客様は買わなくてはいけないのか」を位置付けているようです(セールスポイントと混在している時はありますが、そのことについてはここでは省くとして)。
これに対し、私は、「何を」を、お客様にとっての価値、すなわち、このビジネスならではの顧客価値としてとらえ、それを「どのように」実現するかにおいて、販売する商品・サービスを位置付けています。
おわかりいただけますでしょうか?
商品・サービスと、顧客価値の位置づけが、まるっきり正反対になっているのです。
言ってみれば、一般的通説においては、商品・サービスが中心で、それを売っていくために、どうしていくかが計画の軸になっています。
これに対しては、私の計画策定のあり方は、顧客価値が中心で、それを実現するために、どんな商品・サービスが必要で、その価値をどうやってお客様に受け入れていただくかが計画の軸になっているのです。
私も以前は、一般的進め方で事業計画を書いていました。
支援者としてだけでなく、10年間の事業推進当事者としても…。
その結果、私が至ったのは、商品・サービスからはじまる事業計画は、ビジネスの現場実態から、年々ずれていっているということでした。
商品・サービスが足りていない時代なら、商品・サービスを主体として計画を考えるのは合理的ですが、現代は、既にあらゆるモノ・サービスがありふれている時代、消費者自身が、「なぜ買わなくてはいけないのか」がよくわからない時代となっています。その中で、従来通り商品・サービスを起点として計画をくみたてるのは、はたして合理的かというと…どうなのでしょうか?
特に、これから市場にうってでようという創業者の場合、どうなのでしょうか?
そもそも創業計画をつくる目的って、事業をできるだけ順調に立ち上げるためにつくるもの、事業が立ち上がり、順調に推移していくためには、そもそも商品・サービスが売れないとお話にならないわけで、であるなら、創業計画は、「お客様が買いたくなるシナリオ」が軸となるのが、合理的だと思うし、現場の実態に即していると思うのです。
考えてみれば、創業計画を含む事業計画のフォーマットというのは、もう何年も、何十年も大きな変化を見せていないように思います。私が診断士になって今年で既に18年、その間にいろいろなフレームワークがあらわれてきました。それ以前のものも含め、現在の事業計画のスタイルに影響を与えるものとしては、SWOT、3C、4PやBSCetc…。でも、事業計画の基本的構成や軸は変わっていないように思います。
よくよく考えると、これらフレームワークの多くは、効率性重視の工業社会で生まれてきたもの、そこでは、モノが中心です。
今はどうなのでしょうか?もちろん、モノは大切ですが、少なくとも、消費の現場においては、中心は移行してきているのではないでしょうか?
金融機関へ提出する際とか、補助金やビジネスコンテストに応募する際は、予めフォーマットが指定されていることが多く、そのフォーマットのほとんどは、従来の一般的フォーマットとなっているのが現実です。ところが一方では、消費の実態は変化している。結果、両者間のズレは、拡大の一途を辿っているのでは?という気もします。
もちろん、融資や補助金採択という成果を手に入れるためには、フォーマットにあわせて、その審査基準にあわせて策定することは必要ですが、だからといって、消費市場とズレのあるものを策定して、それを羅針盤にして船出するのも、なにか違うように感じます。
聞くところによると、今後、各地で創業塾・スクールが数多く開催されるのだそうです。
そこでは、やはり、従来型の事業計画づくりが主流となるのでしょうか・・・。
大変生意気なことを申し上げる様なのですが、講師の皆さま方、主催者の方々には、どうぞ、本来の「商売」のための塾の構成を、お願いできないものかと、強く願う今日この頃です。。。
それでは、また。。。