自分の強みは(一旦)忘れましょう…特に創業の場合
「あれ?教科書や創業塾で言っていることと違うけど?」
と思われた方は、少なくないと思います。
以前より、何度か、よく言われている「創業にあたっての常識」に私は強い違和感を感じていることを、他の諸先輩方・ご同輩方にもはばかることなく唱えていますが(笑)、今回は、もう少し踏み込んで。
最も強い違和感を抱いているのは、事業orストアコンセプトの組立のあり方。
中でも、“何を”の質的違い。
ほとんどの教科書では商品・サービスとしていることが多いのに対し、私は、お客様にとっての、“ならでは”の“新たな”価値としてとらえています。
教科書的には「それはメリットじゃないの?メリットもちゃんと考えますよ」となりやすいかと思うのですが、メリットとはだいぶ違う感覚、むしろ、「お客様の、お客様自身すら気づいていないハッピーシーン」です。
当然、最も求められるのは、その“ならでは”の“新たな”ハッピーシーンの創造力です。
言い換えると、未来を描く能力とも言えるでしょうか。
その後、そのハッピーシーンを実現するために、どんな工夫や商品・サービスが必要であって、そのために必要なリソースはこれとこれで、そのうち、自分が有しているリソースはこれとこれで、それ以外はどうするというプロセスになります。
ところが、現在の自分のリソースから積み上げていくプロセスだと…
その業界で優秀であればあるほど、そのカテゴリーでの発想に限定される恐れが高くなります。
自分のリソースという部分からは、なかなか“新たな”は出てきづらい。。。
特に創業を考える方の場合、普通にしていても、自分のリソース発でビジネスを組み立てようとする傾向は非常に強く、その中で、教科書でも同様のプロセスをすすめてしまうと、その傾向が更に強化される恐れがあるのではないかと危惧されます。
結果…よくあるような、立派なその業界らしいお店が出来上がる恐れも高くなることでしょう。
それで、創業後一番苦労なさるのは、創業なさったご本人です。
こう考えると、実は重要なポイントは、自分の強みを探すことより、まずは、それを一旦忘れるぐらいの意識で、お客様の(未だ実現していない)素敵なハッピーシーンに気づくことであり、創業にあたって最も学ばなくてはいけないのは、未来を創造するプロセスではないかなと、私は思います。
お上が推進する開業率上昇のための各施策は、単に自営業者を増やすだけでなく、新たな価値を創造を期待してのものだと思うので…。