ストアコンセプトについてPart 2
Part1では、ストアコンセプトの定義、そして、策定にあたってご参考にしていただけるフレームワークについて、ご説明させていただきました。 それでは、具体例で考えてみましょう。 まずは、下記の「サロンA」さん、小冊子でもご紹介した「Noah」さんのコンセプトを比較してみてください。
サロンAさんは、架空のサロンですが、よくありがちな事例であることは、街を歩いていても、ネット上でいろんなサロンのホームページや、サロン検索サイトを見てもおわかりいただけると思います。 Noahさんのサロンコンセプトは、小冊子でご紹介したNoahさんのパンフレットにのっている「ストーリー」をもとに、Part1でご説明したフレームワークにのっとり整理したものです(ストーリーは、Noahさんのブログにもあります)。
さて、どちらが、それぞれのサロンの「お客様にお伝えしたい価値」が力強くこちらに伝わってきますでしょうか?どちらのサロンが優れているというのではなく、どちらが強く伝わってくるかです。
Aサロンさんも、実際は素晴らしいUSP(Unique Selling Proposition…独自の、強力な、“ウリ”(価値))をお持ちなのでしょうね。なんとなくおっしゃりたいことはわからないわけではありませんが、残念ながら、こちらには伝わってきづらい…。ストアコンセプトというより、どちらかというと、店舗(設計)デザインコンセプトに近いと言えるかもしれません。 なぜ、「南プロヴァンス風アンティークサロン」なのでしょうか?見込客から、「なぜ私があなたの美容室を利用しなくてはいけないのですか?(しかも、私は他の美容室を使っていますよ)」と質問されて、「それは、南プロヴァンス風アンティークサロンだからです」と回答している様なもので、どうも会話としてはチグハグな感じがします。
かたや、Noahさんの事例。まずは、「美容室飽和状態の今、お気に入りの美容師と出会えずジプシーの様にサロンをさまよっておられる方」という具体像に対して、ご注目~!と呼び掛けています。これで、まずはジプシーの様にさまよっている、あるいは、「ひょっとして自分も?」と少しでも心当たりのある方は、「なになに?」となります。以前、人は自分にとって意味のある情報しか知覚しないと述べましたが、ターゲットを「サロンジプシーさん」と明確化して呼び掛けることにより、知覚効果が働きやすくなります。そして、「なになに?」と振り向いた方に、「あなたがジプシーとなっているのは、実はあなたの中に眠っている(潜在化している)ステキなあなたが今までは引き出されなかったから、何かもやもやしたものがあってさまよっているんじゃないですか?」、「当サロンは、それが引き出せる『方舟・楽屋』なんですよ」、「その裏付け・手段(なぜ引き出せるか)は、例えば、中が見えにくい造り、納得のいく技術提供、完全予約制といったことですよ」と一連の(目的→手段の)統一感のある流れにそって価値が訴求されています。おもわず、なるほど~とうなってしまいます。 NoahさんはNoahさんでいろいろ課題をお持ちのことと思いますが、このサロンコンセプトという点では、非常に参考になる、素晴らしい事例であることは間違いないと思います。私が一目惚れした最大の理由は、ここにあります(もちろん他にもステキな魅力はたくさんありますよ…笑)。
サロンコンセプトの明確化は、特にサロン開設時しかできないことはありません(確かに、開設時の方がやりやすいでしょうが)。必ずしも大きな改装が必要となるわけでもありません(できるに越したことはないのでしょうが)。今あるあなたのサロン内の経営資源を活用してやれることもたくさんあることでしょう。 そして、このサロンコンセプトの明確化に、あらためて、そして、真剣に取り組むだけで、よりお客様にとって魅力的なサロンへと劇的に変化するサロンも、おそらく少なくはないと思います。
そのために、まず必要な行動…。それは、小冊子でもふれましたが、あなたのサロンの価値という経営資源の洗い出しでしょう。
この「価値の洗い出し」については、また別の機会に。。。