差別化って
このところ、いろんな方々とお話している中で感じることなのですが…
どうも、「差別化」というものを、狭くとらえ過ぎていらっしゃる方が少なからずいらっしゃるような気がします。
「お店の経営にあたっては、差別化が必要です」とか、「他のお店とどう違うのか、特徴が大切」といったことがよく、創業塾でも強調して言われていますし、書籍でも書かれています。そのこと自体の是非についてここで論じるつもりはないのですが、どうもいろいろお話をうかがっていると、この「差別化」を、商品や施術で実現しなくてはならないと、狭くとらえていらっしゃる方が多い様に思えてなりません。
もちろん、商品・施術で差別化することはとてもいいことなのですが、商品・施術以外でも差別化は図れます。
現代の様に、あらゆる商品・サービスが世にあふれ、あまたの事業者がそれぞれ、それらを通しての差別化に取り組んできて久しい状況下においては、むしろ、これらを通しての差別化は、消費者には伝わりづらい、場合によってはこれまでのように価値として感じられていなかったりします。実際のところ…施術による違いは、そこに事業者側が思っているほどの差をお客様側は感じていらっしゃらないとしか思えないケースも、よく見受けられるというのは現実かと思います。現在のお客様のレベルでは、施術のみならず、接客サービスによる差別化も、なかなかに困難になりつつあると感じます。
また、事業者側にしても、「これだけいろんな施術があって、それぞれたくさんの優れた技術を提供なさっている事業者がいる中で、一体どうやって(技術で)差別化したらいいの?」という感覚にもなってしまいがちかと。あるいは、それでもなお、消費者にとってはあまりにも些少な違いを追及する道をまい進することになったり…技術を極めることはとても素晴らしいことですし大切なことなのですが、それは「些少な違い」を追及するというのとは、ちょっと違うような気がするのは私だけでしょうか。
「差別化」は確かに大切で有効なのでしょうが、それが強調されるあまり、「差別化のラビリンス」に陥ってしまう…そうなったら、本末転倒の様な気がします。
一旦、商品・サービスから目を離してみると、差別化の源泉はたくさんあることに気づくことが多々あります。
立地だって立派な差別化要因ですし、今ご来店いただいているお客様だって差別化要因であることはありますし、特に、創業間もない方や中小規模のお店にとっては、事業者の方のここまでの経緯、感じてきたこと、経験自体が強力な差別化要因となります。
こういったことは、日常業務の忙しさから少し距離をおいた場所で時間をかけて考えてみたら…わかりやすいかもしれませんね。