お客様は自分にとって意味ある情報しか知覚しない
昨日は、「ボワ~っとしたイメージだけの訴求」について、消費者の自己正当化の心理面からご説明しましたが、もっと基本的な「刺激→知覚→認知→反応」のプロセスモデルからも説明がつきます。 モノ・サービスの購買を、消費者の心理面から思いっきり単純化すると、「お店からの購買・利用呼びかけ=刺激」を受け、その「呼びかけを認識し=知覚」、それに応じて「購買する(反応)」というプロセスであると言えます。刺激には、言葉だけではなく、見た目・イメージも含め、五感に働きかける全てのものを含みます。 このプロセスからわかることは、刺激が知覚されないと、購買という反応がおきないということです。 でですね、ここが非常に大切なところなのですが、情報の知覚効果というか力は、言語化(概念化)された情報の方が強いということなのですね。 このことは、ちょっとした実験で「なるほど」と理解できます(よく使われる事例です)。
1.皆さんが今いらっしゃる部屋の中を見回し(1分間程度で十分かと)、青色のものがいくつあるか、確認してみてください。
2.その後、目をつぶって思いだしてください。
3.さて、次に黄色のものはいくつあったでしょう?何と何があったでしょう?
視覚情報の全てが知覚されているなら、回答できるはずですが、回答できる方はそうそういらっしゃらないのではないでしょうか?回答できるとしたら、予め黄色についてもたずねられるとわかっていたケースぐらいではないでしょうか。 黄色のものの情報も、感覚器官には間違いなく届いているはずなのです。色情報だけではなく、形状に関する情報等、視覚情報は全て。 ところが、脳は、それらの膨大な情報の中から、自分にとって意味のある情報しか知覚しないのです。 そして、その意味化の力を最も強めるのが、言語(概念)化なのです。
美容系サービス業の場合、ビジュアルイメージ力が長けた方が多い様に感じます。理容師さん、美容師さんにおいては、そもそも、その力がないと、商品・サービスそのもののレベルが問われかねないのではないかと。技術者として、クリエーターとして優秀であればあるほど、「こういうデザインでこうすれば」という様に、瞬時にあるべき姿を頭でイメージでき、それを、現実のヘアデザインとして具現化できるのではと思われます。その頭の中のイメージをお客様にお伝えするには、作品集とも言えるカタログ等でビジュアルに訴えるというのは適切だと思います。ただし、いかがですか?現実にはその場合でも、「お客様(あなた)の場合だと、こういったスタイルがいいのではないでしょうか?」的に、そのお客様にとってそのビジュアル情報が意味ありますよ、と意味化を言語で図っているケースは多くないですか?
同じことは、お店へのご来店を呼び掛ける時にも言えるのですね。ボワ~っとしたイメージ訴求だけでは、この意味化が弱いということですね。
さて、あなたのお店は、お客様にとって、意味化された情報がきちんと発信されているでしょうか? 次回(ひょっとしたらもっと後になるかも)は、この件に関連して、ストアorブランドコンセプト(カテゴリー)等についてふれてみたいと思います。