経営企画室便り

「共感」のビタミン剤

今朝のNHKニュースで、社交不安障害という疾患についてのコーナーがありました。 この疾患は「他人に悪い評価を受けることや、人目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたす」というものだそうで(SADネットホームページよりhttp://www.sad-net.jp/)、治療のポイントは、モノアミン系ホルモンで脳内物質として有名なセロトニンなんだそうです。 モノアミン系脳内物質としては他にドーパミン(目標達成の時の幸福感、意欲のホルモン)、ノルアドレナリン(危機感に基づいた力の源)が知られていて、いずれも大切なものですが、ドーパミン・ノルアドレナリンの過剰分泌はそれぞれ問題を生じせしめますので、それをコントロールしているのがセロトニンなんだそうです。 こうやって考えてみると、この社交不安障害は、現代社会環境を背景とした疾患であることは確かの様に感じます。
… 以前、ある書籍で、セロトニン分泌は人の「共感」と密接に関係しているとありました。 ということは…今、キーワードとして「共感」が大きくクローズアップされ、求められているのも、同じく、現代社会環境を背景としたものであるのではとも思われます。 消費、組織&人事等々…経営のいろんな面でも「共感」がとても重要なキーワードとなっているのもこういった点に関係しているようが気がします。
「共感」を感じたい時にオススメの動画はこちら、何度見ても、心が揺り動かされるビタミン剤です。 スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学でのスピーチ。

これもストーリーテリングですよね

私は学生時代、ちょっとかわったアルバイトをしていました。
それは、「SONYのヘルパー」です。
ソニーの地方販社からスーパー等量販店に派遣され、そのお手伝いをするというのが業務内容でした。
面白くて…はまっちゃいました。
学校にはろくに行かず、バイトばかり。まあ、よくぞ留年もせずに、卒業できたものと思います。
やっぱり、持つべきものは、優秀かつ面倒見のいい学友です(笑)。

その時期、ソニーの前身である東京通信工業の設立趣意書を読みました。

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html
(ソニー株式会社ホームページより)

こころが揺り動かされた記憶が今でも生々しいです。
これを読む度に、私の頭の中には、父親の姿が浮かんでいました。
愚直なまでに技術者として仕事に没頭する町工場の親父さん、それが父でした。
お世辞にも世渡り上手とは言えず、口下手、でも、技術に対しては子供さえも感心するほどに純粋な技術者でした。
「真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ…」
の“真面目ナル技術者”の、最も典型的な人が身近にいたのです。
そして、同社のフロンティアスピリッツに、メロメロになってしまいました。

もちろん、私がこのアルバイトにはまりこんだのは、これだけが要因ではありませんが、大きな要因のひとつであったことは間違いなかったでしょう。先ほど、久しぶりにソニー㈱のホームページにある設立趣意書を読んで、あの頃の感覚がよみがえってきました。

今思うに…
この設立趣意書、ストーリーテリングですよね。
一介の学生アルバイトの心すらとらえたストーリー、
その力の大きさに、あらためて驚かされます。
学生だった私は、このストーリーを読みながら、頭の中でそのストーリーで語られるシーンを再現し、そこに浮かんでいる父親の姿を通じてよりリアルに追体験し、そして、心が動かされたということだったのでしょう。
一旦心を動かされた後は…
販売に必要な商品知識の習得も、そして実績アップも、かなり加速したような気がします。

ストーリーの力、恐るべしです。。。

皆さんは、ストーリーで語れていますか?
お客様に対して、スタッフに対して、支援者の方々に対して…
事業を大きく左右することだと思います。

私でよろしければ、そのストーリー、うかがわせていただきます。。。

あなたは何屋ですか?

今日(2月15日)のNHK朝ドラ「純と愛」をご覧になられた方はいらっしゃいますでしょうか?

「里や」を再建しようとする仲間たち、
1.愛君の料理
2.セクシーさんの美容師としての技術
3.お兄ちゃんのマッサージ
をウリにというのは前回までのお話の続き…。今回は、それに、おねえちゃんのアイデアやチュルチュル(はすみ))ちゃんの「人間ジュークボックス」が加わりましたが、その過程で、純は、
「そうか!ここをホテルだと思うからいけないんだ!お客さんが気軽に集まって、そのまま泊りたい時には泊ると考えればいいんだ~!」(若干私の記憶違いはあるかもしれません…笑)
と気づくのでした。「里やはホテル」という業種的固定概念にとらわれなければ、色々発想が出てくるし、メンバーそれぞれのリソースも里やのすごい魅力になると…。

これ、そのまま、理美容サロンにあてはまりますよね。
実際、これまで各サロンをお手伝いする中で、似たような事例に遭遇することが、とても多くありました。
というより…過半、見方によっては大半とも言えます。

私はよく、「散髪屋であって散髪屋でない、あなたならではの散髪屋を考えましょう」、「美容室であって美容室でない、あなたならではの美容室を考えましょう」、、「エステサロンであってエステサロンでない、あなたならではのエステサロン」を考えましょうと、まるで、禅問答みたいなことを関与先さんにお話ししています。そして、それを、ワンセンテンスor短い文章、できれば、何屋という名詞形にしていただくことをおススメしています。

仮に、あなたが巷で俗に言うところの理容店としましょう。
業種的発想の理容店・散髪屋であると自店をカテゴライズすると、

1.全国13万軒の理容店との競争となります。全国はオーバーでも、地域内の数多くの理容店との競争、場合によっては、戦争になります。これは、ともすると、体力勝負(価格競争等)になりやすくなります。
2.競争ですので、差別化を図ることになりますが、あくまでも理容店の発想の中での差別化となりますので、差別化しているつもりでも、消費者にとってはさほど差別化されていると感じられないことがよくあります。コモディティ化が進んだ消費社会、よほどのことがない限り、たくさんのモノ・コトはありふれたものとして、巷にあふれています。
3.差別化はいいかえれば「他のお店とは違う」ということですから、主体は他店となります(はたしてそれで…あなたは楽しいでしょうか?)。

 いずれにしろ…とりわけ、チェーン店以外の個店にとっては、少々辛い選択肢ではないかと思われます。「あなたのお店の特徴はなんですか?違いはなんですか?」という問いでよく表現される差別化戦略も…妥当とは考え難いケースも多々あります。

とは言うものの、深く考えることなく、○○屋と表現を変えてみても、それで通じるほど、世の中は甘くないことも事実です。
ここで絶対必要になるのは、「あなたの想い」です。
純も、「おじいのホテル―魔法の国をつくるんだ!」という本気の強いホンモノの想いがあるからこそ、前述の様な発想が出てくるわけであり、そして、それが人の心を動かすのです。

自店のウリを並べる、例えば、広告で訴求するだけでは、人の心は動きません(もちろん、何もしないよりは遥かにいいでしょうが)。
その前に、それらウリを統べるストアコンセプトがいります。
ストアコンセプトとは、「新たな、ならではの、well-being or happinessの提案」であり、お客様があなたのサロンに来なくてはいけない真の理由です。そのストアコンセプトをわかりやすく、かつ、簡潔に表現したものが「○○屋」というカテゴリーであり、商品・サービス・その他もろもろの目に見えやすいモノ・コトは、そこで提供するwell-being or happinessを編集するためのアイテム・手段です。
そして、そのストアコンセプトは、あなたの本気の強いホンモノの想いを実現するための手段なのです。

だから…
あなたの想い・志から導かれた「新たな、ならではのwell-being or happiness」こそが、実は真のUSP(Unique Selling Proposition)とも言えるのです。
商品・サービスの特徴・ウリは、表面的なUSPでしかありません。
そして、主体は、あなたであって、隣のお店ではないのです。

あなたの想い・志は何ですか?
その志の強さは、どれほどですか?
その志はあなた自身ワクワクしますか?
その志を、あなたは語っていますか?表現していますか?
その志は、人の心を動かしますか?
そして、あなたはその志を実現するため、これまで、どんな努力をしてきましたか?そして、今、どんなことをしていますか?
そして…あなたは何屋さんですか?

現代社会、人は…そういったことを、聞きたがっているのです。
もちろん、お客様も、スタッフも…。

ちなみに…私は…

「理美容サロンの社外経営企画室」であり、
「あなたの志実現パートナー」です。
コンサルタントではありません。

あらためて…今後とも、よろしくお願いいたします。。。

「共感」という言葉の定義

「共感」という言葉の定義…
いかに、人によってバラツキがあるか、痛感した出来事が先日ありました。

ある販促系セミナー、見出しに「共感」という言葉がありましたので、参加してみました。
講師は前半・後半と、お二人でした。

私は、「共感」という言葉は、まさに読んで字のごとく、「感情を共にする」という意味で使っていることがほとんどで、そういうもんだと思っていました。したがって、セミナーもその方向性の内容だろうと思って参加しました。
ところが…まるで違う内容でした。

前半の講師は、文脈からすると、「自分ごと」という意味で、後半の講師は、「(理屈として)理解する」という意味で、「共感」という言葉を使っておられました。
「感情を共にする」と「自分ごと」、ましてや「(理屈として)理解する」とでは、話の内容は全く別のもの、そこから出てくる具体的アクションも、時にはまったく反対のものとなってしまうこともありえます。

どちらが正しいかどうかということではなく、「共感」という言葉を使う場合は、「定義を確認した上で使う」などの工夫が必要だな~と教えられました。

言葉の定義って…難しいですね。。。

自分のストーリーづくりって難しい

昨年10月以降、関与先さんのミッションのバックストーリー(ミッションストーリー)や、ストアコンセプトストーリーを作るお手伝いをする機会が増えてきました。
創業の動機や理・美容師、エステティシャンとなった動機も含めこれまでの動機、さらには幼いころの思い出、大切にしている価値観等を、時には3時間から4時間お聞かせいただき、それをもとに、数分の、その方だけの感動ストーリーとして物語化しています。
ストーリーテリングという言葉は最近よく耳にしますが、論理的なシナリオ的性格のストーリーではなく、感動ストーリーをつくっています。

非常に…効果的です。たくさんのお客様が、スタッフが、感動なさいます。
経営理念の共有はじめ組織活性化、ストアコンセプトの訴求はじめマーケティング面での活用で、特に顕著な効果を実感しています。特に、いろんな意味で“人”の関係度が高い理美容サービス業においては、今後、この感動ストーリーの活用は必須となると、確信しています。もちろん、他業種・業態においても、その効果は大変大きいものがあるでしょう。

ということで、そのスキルを格段に向上させるべく、先日来、この分野の第一人者の方に師事し、あらためて学んでいるのですが、不思議なことに、関与先さんのストーリーについては取り組みやすいのですが、自分のストーリーとなると…ホント、難しいです。

まず、客観的になれませんし、自分で見えていないところもあります。
そのくせ、自分のこれまでのエピソードは自分が一番知っていますので、あれもこれも盛り込もうとしてしまい、結果、単なる過去の事実の羅列、よくて、再現ドラマの脚本にしかならなかったりします。
単にエピソードの羅列は、人の心に届きませんので、効果は見込めません。

せっかくですので、今回の受講中に自分の感動ストーリーも、お師匠さんのご助力をいただきながら、いいものに仕上げたいと思っています。

皆さんも…ご自分の感動ストーリー、ぜひ紡ぎあげることをオススメします。
ご要望があれば、お手伝いさせていただきます。


近日中に、公開の許可をいただいた、実際の関与先様の感動ストーリー、そして、私自身のストーリーも公開させていただく予定です。

お楽しみに。。。

理容と美容で求められるものの違い

このテーマはとても大きなテーマで、多様な観点がありますし、私のような若輩者が語るのはおそれ多いことなのかもしれませんが、「こういう観点もあるのでは?」という意味で、述べさせていただきます。

ご承知のとおり、理容と美容の違いは、理容師法第1条の2と、美容師法第2条であらわされています。
そこで述べられている「方法」の違いが論じられることが多いのかなと以前から感じていましたが、本質的には、「方法」ではなく、「目的」のところ、すなわち、「容姿を整える」と「容姿を美しくする」の違い、それも、物理的な「整える」と「美しくする」というよりも、それによって得られるお客様の精神的充足感の質の違いに、私は興味を覚えます。

あくまでも、私の感覚なんですが、理容店が男性のお客様を主対象とし、理容師法もそう想定している?と私には受け取れることも加味すると、「整える」ことによっての精神的充足感のイメージを表現するキーワードは、サッパリ、落ち着き、いつもの、日常、安心といったところかなと感じます。
これに対して、「美しくする」ことによっての精神的充足感のキーワードは、華やぎ、ウキウキ、新しい自分、日常の中の非日常といったところかなと感じます。
言ってみれば、前者が、静かな心のここちよさに関係するホルモンとされる「オキシトシン」的充足感、後者が、動的な快という感情に関係するホルモンとされる「ドーパミン」的充足感の様にも感じます。
もちろん、美容室でも、落ち着きや、安心といった充足感は求められるでしょうし、理容店で華やぎやウキウキが求められもするでしょうが、それでも、どうも本質的には、こういった違いはあるように、理容師さん、美容師さん双方とおつきあいさせていただいてきた、そして、人生の中で、両方を消費者として利用してきた私には感じられます。

以前より、男性の方で、若い方を中心に理容店ではなく美容室を利用する比率が高くなってきていて、それが、近年ではもう少し上の年齢層にまでひろがっているという声はよくお聞きします。
その一方、あくまでも私の感覚ですが、「自分はやっぱり、どうしても散髪屋さんの方がいい」という方のお声もまた、少なからず存在するのも事実であり、むしろ、近年、よく聞かれる様な気もします。そういうお客様は、やはり、決めた理容店はなかなか変えないし、何十年も通ったりなさるのでしょうね。そういったお客様は、理容店での本質的な精神的充足感、落ち着きや安心感、日常といったものに、高い価値を感じていらっしゃるのではないかと、そう思えたりします。

となると…理容店が華やぎやウキウキの美容系の方向性を強化するのももちろん一つの方向性ですが、逆に、本来の落ち着きや安心感といった精神的充足感を一層強化する、原点強化の方向もまた、とても有効なのではないでしょうか。
美容室についても、逆方向での、同様なことが言えそうな気がします。

私は、理容も美容も、それぞれ大切な文化だと思っています。もちろん、その融合はあって然るべきですし、それによる消費者のメリットは、歓迎です。でも、それによって、もし、万が一でも理容なら理容としての「らしい」文化、美容なら美容としての「らしい」文化が損なわれることがあった場合は、とても悲しいこと、社会の損失ではないかと感じます。

さ、落語「浮世床」でも聞いてみましょうか…
韓国映画「大統領の理髪師」も感動できる作品ですね…

それでは。

あけましておめでとうございます

遅ればせながら…
あけまして、おめでとうございます。

昨日、素晴らしい方々とお会いしました。
地域で35年もの間理容店を経営なさってこられたお師匠さんと、そのもとで修業をされ、他の店での武者修行後、一昨年開業なさったお弟子さんのおふた方でした。
詳細は省かせていただきますが、お師匠さんの厳しくも、「ここまでやるものか」と驚くほどのあたたかい思い、そして、それにこたえ、ご恩返しを果たしたいというお弟子さんの純粋なお気持ち、感銘しました。

理容に限らず、美容も、そして、その他の施術系サービス業界でも、現在でも徒弟制度的育成のあり方が他業界に比較して残っていて、何かとそれによる問題点が指摘されたりしていますが、反面、そのよき点も多く存在していることは事実と思います。
全ての師弟間に同様な「こころの交流」があるとは限りませんが、ともすると、論理・経済合理性のもと切り捨てられることも多かった、こういった人と人との間の“情”が、皮肉にも、現代では最も必要とされているものかもしれません。

その、最も求められているステキな“情”にふれることができ、新年早々、清々しい感を覚えました。

それではみなさま、本年も、よろしくお願いいたします!

本年、お世話になりました♪

2012年も残すところ、あと1日となりました。
2012年は皆さんにとって、どんな年だったでしょうか。
私は、7月から、本来の中小企業診断士としての活動に復帰するという、なかなかの激動の年となりました。
まだまだ未熟者ではありますが、おかげさまで、素晴らしい関与先様とお会いできる機会が増えてきて、早くもこちらが感動するお話をたくさん聞かせていただける等、恵まれた1年でもあったな~と、ふりかえって今、感じています。

さて、2013年はどういう年となりますでしょうか。。。
おりしも、先ほど、下記の様なニュースが流れてきました。

中小企業支援へ新機構 政府、来年4月創設を検討
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/TKY201212300484.html

2013年4月からは、「地域活性化支援機構」という組織が、中小企業支援を統括する方向で進んでいるそうです。
今後、具体策が順次明らかになってくることでしょうが、きっと、皆さんにも使える制度はあると思いますし、私自身も、関係できるものについては積極的にからんでいきたいと思っていますが、私も皆さんも、基本の自らの自助努力、“伴に”成長していきたいと思っています。

私は、コンサルタントではありません。
皆さんの志実現パートナーであり、皆さんの経営企画室です。
それにふさわしい力をもっともっと身につけ、皆さんの想いの実現に貢献したい、新年を前に、今、新たに決意しています。

それでは、みなさん、よいお年を♪

ぜひ、読んでみてください!

理・美容師さん、エステティシャンさん、リラクゼーショニストさん、ネイリストさん等、理美容業で頑張っていらっしゃる皆さんに、激オススメ本です。とりわけ、リラクゼーショニストさんにとっては、ご自身のサービスの質にも直接関係するような、新たな知見が盛り込まれています。まさに、目からウロコ、「なるほどそうだったんだ~」という気持ちになりました。

ここで述べられている、癒しの脳内物質オキシトシン、そして、ココチいい心の安定を図るセロトニン研究は、理美容業の意義も高めるものではないかと、そう思いました。

参考までに、ホンの少し、書中から引用。

『マッサージで癒されるわけ』
「マッサージで癒される」とは、よく聞く言葉である。実際、施術を受けたことがある人なら、マッサージの癒し効果を実感しているだろう。マッサージにもいろいろあるが、いずれも本来の目的は、筋肉をもみほぐしたり…(途中省略)…それで心が癒されるのは、なぜなのか。
凝り固まった筋肉がほぐれて気持ちがいい、ということもあるだろう。アロマオイルを使ったマッサージなら、香りが副交感神経を刺激してリラクゼーションになる、ということも、もちろんあるはずだ。しかし、それより何より「触れられる」ということが、マッサージで癒される最大のポイント。マッサージは人と人との肌の触れ合い、すなわち、スキンシップのひとつの形なのである。当然、オキシトシンが出る。マッサージで癒されるのは、まさにこのオキシトニン効果によるところが大なのだ。

ここでいう「マッサージ」は、文脈からすると、あはき法に規定するマッサージや整体等身体的セラピー系のものだけではなく、いわゆるリラクゼーショントリートメントやエステ手技も含めた広義の意味で使っていることはあきらかでしょう。私も、副交感神経優位の状態とすることによるリラックス感、免疫系への好影響等そのことによる副次効果こそが、施術による癒し効果の主体であると認識しつつも、なにかモヤモヤした感がしていましたが、実はそればかりでなく、「ほんわかとした幸福感」を生み出すオキシトシンこそポイントだったということは、新たな衝撃、驚きでした。

このオキシトシンは、精神的ストレス緩和にとても有効で、グルーミングがその分泌に効果的、その中のさらに効果的な方法がスキンシップなんだそうです。しかも、直接触れ合うスキンシップ以外の、フェイスtoフェイスの良好なコミュニケーションもとても有効なグルーミングなんだそうです。
なるほど~、だから、オシャレなお店だけど、シ~ンとしたリラクゼーションサロンより、スタッフとお客様の間で、会話はもちろん、ノンバーバル(非言語的)なものも含め、たくさんのコミュニケーションが飛び交っているサロンの方が、繁盛しているケースが多いわけですね。言ってみれば、より「オキシトシン濃度の高いお店」(これは私の造語です)だからなんですね。
癒しの正体が、副交感神経優位の状態に誘われることであるとするなら、静かな方がいいですし、寝ていただいた方がいいということになりますが、現実はその逆であることが多い背景には、このオキシトシンの存在があったんですね。

それと…、リラクゼーションサロンには、身体的ストレスを感じてご来店される方ばかりでなく、職場や家庭で嫌なことがあって精神的ストレスの緩和を目的に来られる方も、たくさんお越しになる、というより、むしろそのほうが多い?というのも、このオキシトシンを主体に考えると、納得がいきます。

さらに、次の記述もありました。
『オキシトシンは双方向である』
オキシトシンは双方向である。たとえば、あなたが誰かと触れあったときには、あなただけでなく、相手の脳内でもオキシトシンは出ているということだ。…(途中省略)…エステティシャンなどマッサージを施術する人が、「実はこちらも癒されているんです」と語るのを何度か聞いたことがある。…(途中省略)…この変化は、「マッサージをする側も癒される」を見事、証明している。

皆さんの中にも、身に覚えのある方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?

なるほど~、質の高いリラクゼーションサロンとは…手技の生理的効果云々だけで判断するのではなく、というよりも、それよりも、
「オキシトシン濃度の高いサロン」
かどうかで考えた方が妥当、そう考えると、いろんなことが腑に落ちます。まさに、目からウロコです。

エステティシャンさんやリラクゼーショニストさんではなく、理美容師さんやネイリストさんの場合はどうなのよ~って?
そのお答えは、下記の、Yahoo辞書にあったグルーミングの意味をご覧いただければ、ご理解いただけると思います。
1 髪・ひげ・からだなどを清潔に手入れすること。
2 同種の個体間で皮膚・毛・羽毛をつくろい清掃してやる行動。ニホンザルでは個体間の社会関係の確認のために重要な役割をもつとされる。ノミとり。毛繕い。羽繕い。
おサルさんと人間を同列に扱ってはいけないかもしれませんが…これって、人間にあてはめれば、カットやパーマ、ネイルといったサービスそのものと言えるのではないでしょうか?

みなさん、みなさんのお仕事は、人を幸せにするということが、科学的に証明されていますよ!

ビバ!理・美容サービス!

わたしは美術館の無線解説機?

昨日、エル・グレコ展に行ってきました。

首から無線解説機、耳にはそのヘッドフォンをして
「マリヤさま、すてき~♪」
なんて思いながら順番に絵をみていったのですが…

ふと、感じました。
「わたしって、美術館のこの無線解説機みたいなもんかも…」

なにせ、エル・グレコですから、文句なしに素晴らしい芸術作品であることは間違いはなく、解説なんぞなくとも絵をみて感動する方もたくさんいらっしゃるのでしょうが、私みたいに、「よくわかんないけど、なんかステキ~」という程度の方も少なからずいらっしゃることでしょう。そういう方にとっては、このヘッドフォンから流れてくる解説を聞いて、「なるほど~だから、なんかステキと感じたのね~」とおなかに落ちるという感覚が生じることも多いのではないでしょうか。

私は、理・美容師さんやエステティシャン等の方々の想いの翻訳家、志実現パートナー、それが経営企画室としての仕事であると思っているということは以前も述べました。
これらの方々の多くは、ある意味クリエーター的存在、いえいえ、クリエーターそのもの、アーティストそのものと言ってもいいでしょう。その方々の素晴らしいクリエイティブワールドが、きちんと消費者に伝わるお手伝いをするのがマーケティングの仕事、金融機関等お金関係の支援者に伝わるようにするお手伝いが財務の仕事、自社のスタッフに伝わるようにするお手伝いが人事・組織関連の仕事、そう考えると、「美術館の解説機」かな~なんて思いました。

解説なしでも絵の良さを完ぺきに感じることができるという方は、別に解説機なんてつけなくてもいいわけですし、「翻訳なんか必要ない!自分で全部できる!」とか、「自分の感性を理解できる方だけを対象にすればいい」と思っていらっしゃる経営者の方にとっては、私のような存在は無用なのでしょう。
でも、世の中の方々は全て「解説なしで絵がわかる」わけではないですし、「理解できる方だけを対象に」で成り立つ事業ばかりでもないでしょう。それに、かの世阿弥さんも、「真の上手とは、工夫して目効かずにも魅力のある能を演ずるべし、それが将来の目利きを育てることにもつながる」的なことをおっしゃっておられる様です。
となると、やっぱり、私みたいな経営企画室の存在があってもいいのではと、ちょっと自惚れたりします。

そう考えると、美術館の解説機の解説って、「うまいな~」と感じれます。
絵や彫刻等の芸術作品に作者が籠めたであろう感情、見るものが味わう感情がビビッドに伝わるような言葉で語られています。
まさに、私が身につけたい能力です。

今後、美術館へ行くのが楽しみになる、そんな新たな発見でした。。。