経営企画室便り

劣後ローン

画像は、今朝の日経新聞の記事です。多少でも中小企業の財務に関係した経験のある方なら、この動きはとても気になるところでしょう。
大企業にくらべて資本に厚みのない中小企業のうち、少なくはない企業では、ある意味、債務超過回避との戦いがあります。新たな経営革新を行うにあたっては、特にその立ち上げ時には、先行投資故にそのチャレンジ自体が一旦は利益の押し下げ要因になりかねない面もあり、それゆえ、思い切ったチャレンジがしづらいというケースもまま発生します。
劣後ローンは、借入でありながら自己資本と同様と見なされますので、その効果は極めて大きなものがあります。もちろん、今回のこの動きの主目的である金融円滑化法後の着地対策という意味でも同様orそれ以上の効果が見込めます。
ただし・・・この施策も本業は安定してキャッシュフローを生み出しているという前提がないと、そもそもその検討対象にもなりえません。歯を食いしばってでも、そのレベルにまで早く到達すること…。

こういった一連の金融円滑化法後をみすえた動き、美容サービス業事業者の経営にも直接的・間接的に見過ごせない影響が、今後出てきます。「ウチは1店舗しかないから」とか、「ウチは楽ではないけど、今までちゃんと返済しているから」という事業者さんも油断禁物です。

今後は、このテーマに関することも、折に触れお伝えしていきたいと思っています。今日のところはこのへんで。。。

事業計画書作っていますか?

「事業計画書なんて…ウチは1店舗だし、そんな大層なものなんて…」と思わないでください。
これからのサロン経営には(今までにも増して)必要になってきます。
なぜなら、事業の成功(=あなたの志の実現)にとって、最も重要となるのはあなたの志・ビジョンに対する「共感」であり、その「共感」の重要性は日増しに高まっており、「共感」を得るためには、その志・ビジョンの内容、そして、それらの実現のための手段と実現可能性を整理し、目に見える形としてまとめた、あなたならではのシナリオが必要だからです。そのシナリオ原本こそが、事業計画です。

新たにスタッフを募集・採用した場合、事業計画をもとに「わが社の大切にしている価値観、今後の夢・ビジョン」をウェルカムテキストに盛り込むことができます。スタッフの「共感」を得るためには、目に見える形で提示し、そして、それを語ることが必要になります。「なんとなくわかってくれるだろう」は、通用しないと考えるべきです。

マーケティング面においても、「共感」の重要性は以前とは比べ物にならないほど増しています。経営理念にこめられたあなたの志が、どのようにストアコンセプトに盛り込まれ、そして、具体的商品・サービス・施策で表現されているか、その一貫性が問われています。その状態こそがホンモノであり、消費者は今、ホンモノ以外にはお金を出したくないのです。これらは、まさに事業計画の中核をなす部分です。

財務面では、その計画の実現可能性について、支援者の「共感」がポイントになってきます。全額自己資金で自分ひとりの力だけで事業ができるなら話は別なのでしょうが、現実にはそういう事業は極めて稀でしょう。特に、何らかの形で資金的に他からの支援が必要な場合は、あなたの志の実現可能性は非常に重要になります。そこに「共感」していただく必要があります。事業計画の数値部分は、その実現可能性を万国共通語である数字という客観的表現方法であらわしたものです。

そして、あなた自身も、あなた自身に「共感」できるかが重要です。頭の中の考えを事業計画という形で外化することで、自分を客観視することができます。自分の心の中に住む客観的な第三者としての自分が、主体的なあなたに共感できるか、確認することもできます。

「事業計画はだいたい頭の中にあります」という状態は事業計画ではありません。頭の中から外に出して、目に見える形にしないと、本来の効果は発揮されません。

決して立派なものでなくてもいいです。創業の時だけでなく、少なくとも毎年作り直し、そして修正しながら事業に取り組んでいきましょう。サヨナラ、成行経営です。。。

ビューティワールドジャパンウェスト

行ってきました。

なんやかやと、結局10時~16時半までいました。

たくさんパンフレットもいただいて、セミナーもいくつも聞かせていただきました。
一応、館内は撮影禁止の様なのですが、すいません、この画像ぐらいはお赦しを~。

率直に感じたことですが…
鍼灸美容、人気が高いですね。セミナーで経絡セラピーのスカルプケアの実演がありましたが、会場は超満員で、座りきれずに床に座り込んで、モニターを見ながらメモをとっている人もたくさんいらっしゃいました。
確かに、“頭”は魅力ですよね。美容室でもヘッドスパが人気メニューになっている様ですが、そこまでではなくとも、また今回の手技ほどではなくとも、手軽にできるヘッドメニューはいいサイドメニューになることでしょう。

ヘッドリフレッシュ(わかる人にしかわからない名称なのですが…笑)、私も練習しようかしら…。

こちらの方がしっくりきますね。。。(ストアコンセプトの定義)

以前、ストアコンセプトの定義について、「新たな、ならではの、世の中をハッピーにする価値の提案である」とお伝えしていましたが…、以下の様に変更したいと思います。どうも、その方がシックリくる気がします。

「新たな、ならではの、Well-being、あるいは、Happiness価値の提案である」

Well-beingとHappinessは、辞書によると、どちらも幸福という意味があるようです。同じ幸福でも、その本質的なところは両者では明らかに違いますよね。Well-beingには、「よりよく生きる」といった穏やかな感じの幸福という感じがありますし、Happinessはもっと活発な幸福という感じがありますよね。私は、両方の“幸福”という意味を包含したつもりでハッピーという言葉を以前の定義で使っていたのですが、近年は、Well-beingの重要性が日増しに高まっていることから考えると、ここはきちんと区別して併記しておいた方がよさそうです。

人の、Well-beingに対する欲求はとてつもなく大きくなっており、それが消費の主役となってきた、そんな時代の様な気がします。

あなたのサロンは、Well-beingの欲求にこたえていますか?

あつく語ることの大切さ

小冊子で事例としてご紹介することをご快諾いただいたNoahさんのブログで、小冊子ならびに中小企業診断士制度のご紹介をいただきました。本当にありがとうございます! Noahさんのお客様は、オーナーであるNobuさんの想い=志に共感なさっているでしょうし、だからこそ応援もしてくださるのでしょう。お客様に応援していただけるお店の共通点は、根っこに流れている想いなのでしょう。

私は、お店にとって最も重要であり、最大の差別化要因は、お店のオーナーの方ご自身であり、生き様であり、想いと思っています。
しっかりした想いがあって、それを掘り下げていけばいくほど、しっかりしたストアコンセプトもできあがりますし、人事、財務も含めて一貫した芯のある経営ができると思っています。
そして、このことは、どちらかというとチェーン型の多店舗展開企業より、数店舗までの規模のオーナーさんの方がやりやすいでしょうし、今、社会ではそういう熱い想い=志を持って頑張っている人を応援しようとする人々が増えてもいると思います。

各オーナーの皆さん、遠慮なさらず、熱くアツクご自分の“物語”を語ってください!  

ストアコンセプトについてPart 2

Part1では、ストアコンセプトの定義、そして、策定にあたってご参考にしていただけるフレームワークについて、ご説明させていただきました。 それでは、具体例で考えてみましょう。 まずは、下記の「サロンA」さん、小冊子でもご紹介した「Noah」さんのコンセプトを比較してみてください。

サロンAさんは、架空のサロンですが、よくありがちな事例であることは、街を歩いていても、ネット上でいろんなサロンのホームページや、サロン検索サイトを見てもおわかりいただけると思います。 Noahさんのサロンコンセプトは、小冊子でご紹介したNoahさんのパンフレットにのっている「ストーリー」をもとに、Part1でご説明したフレームワークにのっとり整理したものです(ストーリーは、Noahさんのブログにもあります)。

さて、どちらが、それぞれのサロンの「お客様にお伝えしたい価値」が力強くこちらに伝わってきますでしょうか?どちらのサロンが優れているというのではなく、どちらが強く伝わってくるかです。

Aサロンさんも、実際は素晴らしいUSP(Unique Selling Proposition…独自の、強力な、“ウリ”(価値))をお持ちなのでしょうね。なんとなくおっしゃりたいことはわからないわけではありませんが、残念ながら、こちらには伝わってきづらい…。ストアコンセプトというより、どちらかというと、店舗(設計)デザインコンセプトに近いと言えるかもしれません。 なぜ、「南プロヴァンス風アンティークサロン」なのでしょうか?見込客から、「なぜ私があなたの美容室を利用しなくてはいけないのですか?(しかも、私は他の美容室を使っていますよ)」と質問されて、「それは、南プロヴァンス風アンティークサロンだからです」と回答している様なもので、どうも会話としてはチグハグな感じがします。

かたや、Noahさんの事例。まずは、「美容室飽和状態の今、お気に入りの美容師と出会えずジプシーの様にサロンをさまよっておられる方」という具体像に対して、ご注目~!と呼び掛けています。これで、まずはジプシーの様にさまよっている、あるいは、「ひょっとして自分も?」と少しでも心当たりのある方は、「なになに?」となります。以前、人は自分にとって意味のある情報しか知覚しないと述べましたが、ターゲットを「サロンジプシーさん」と明確化して呼び掛けることにより、知覚効果が働きやすくなります。そして、「なになに?」と振り向いた方に、「あなたがジプシーとなっているのは、実はあなたの中に眠っている(潜在化している)ステキなあなたが今までは引き出されなかったから、何かもやもやしたものがあってさまよっているんじゃないですか?」、「当サロンは、それが引き出せる『方舟・楽屋』なんですよ」、「その裏付け・手段(なぜ引き出せるか)は、例えば、中が見えにくい造り、納得のいく技術提供、完全予約制といったことですよ」と一連の(目的→手段の)統一感のある流れにそって価値が訴求されています。おもわず、なるほど~とうなってしまいます。 NoahさんはNoahさんでいろいろ課題をお持ちのことと思いますが、このサロンコンセプトという点では、非常に参考になる、素晴らしい事例であることは間違いないと思います。私が一目惚れした最大の理由は、ここにあります(もちろん他にもステキな魅力はたくさんありますよ…笑)。

サロンコンセプトの明確化は、特にサロン開設時しかできないことはありません(確かに、開設時の方がやりやすいでしょうが)。必ずしも大きな改装が必要となるわけでもありません(できるに越したことはないのでしょうが)。今あるあなたのサロン内の経営資源を活用してやれることもたくさんあることでしょう。 そして、このサロンコンセプトの明確化に、あらためて、そして、真剣に取り組むだけで、よりお客様にとって魅力的なサロンへと劇的に変化するサロンも、おそらく少なくはないと思います。

そのために、まず必要な行動…。それは、小冊子でもふれましたが、あなたのサロンの価値という経営資源の洗い出しでしょう。

この「価値の洗い出し」については、また別の機会に。。。

求人誌

今月から、request/QJをとることにしました。美容師さんの求人誌です。ついでに、過去4カ月分のバックナンバーも取り寄せました。 求人誌は言わば、採用したい人材に対するサロン側のマーケティングツールであり、ざっと眺めていると、人材に対する考え方や運営スタイルが垣間みたりできそうです。 また、読者である美容師さん方にとって関心のあるテーマの記事もかなり多く、これまたいいな~と感じます。 私自身はもちろん美容師でもなく今さらなれもしませんが、経営企画室とは経営者の想い・感性の翻訳業(市場に対する翻訳はマーケティング、金融機関に対する翻訳は財務、人材に対する翻訳は人事関係諸事)と思っていますので、そもそもその翻訳すべき感性の意味がわからなければ仕事になりません。ということで、しばらくは定期的に目にしようと思っています。 …
あらためて読んでみると…かなり充実した内容ですね♪ この求人誌は、確か以前スタッフ募集で何度か活用した記憶があります。その時は、まさかこんな使い方をすることになろうとは思ってもいませんでした(笑) 発行元さん、本来の使い方ではないですが、将来必ずご恩返しができるように頑張りますので、お許しくださいね(笑)

ストアコンセプトについてPart 1

お店には、ストアコンセプトが必要だということは、ほとんどの方はご存知だと思います。 思いますが、現実を見ると、だいぶ乖離がありそうです。

そもそも、ストアコンセプトとは何なのでしょうか?なぜ必要なのでしょうか?“How to”(この場合、「ストアコンセプトを作るということ」)は確かに大切なのですが、その背景にある“why”をきちんとはらに落とした上での“How to”でないと、効果は見込めません。また、「そんなメンドクサイことは横においておいて、今までのやり方、他の繁盛店のやり方をまねればいいわ」なんてことになりかねません。その結果、よく見かける様な、“コモディティ(ありふれた)サロン”となり、業界全体としてもコモディティ化は益々進展するということになります。 他の繁盛店のやり方に学ぶのはとてもいいことなのですが、その背景にあるものをきちんとおさえず、目に見えやすいHow toだけを真似るのは、非常に危険です。これは、他業界の事例を学ぶ時も同様です。

ストアコンセプトとは、私は、「新たな、ならではの、世の中をハッピーにする価値の提案である」と定義しています。①新たな ②ならでは ③世の中をハッピーにする という3つが、ストアコンセプトには必要、逆に言えば、この3つがきちんと伝わる感じで表現されていないと、ボワ~っというものになりかねません。 策定過程で決まった形のものは特にありませんが、以下の様なフレームワークを使うと、やりやすいでしょう。

1.「誰に」   2.「何を(どんな価値を)」 (1)USP…独自の、強力な、“ウリ”(価値)の提案 (2)カテゴリー…何屋か (3)ブランド名…愛称   3.どの様に

策定にあたっては、どんな価値が“伝わりやすい”かは、よく考えましょう。 ●ニーズの強さは十分か  ●伝わる表現か  後者については、特に注意が必要です。美容系サロンの場合、施術を通して「ステキ」・「気持ちいい」・「ゆったり」・「癒される」等の価値を訴求したいケースが多いと思いますが、残念ながら、これらの感覚表現はなかなか伝わりません。 デパ地下の食品売場では、試食販売が多いですよね、あの目的のひとつは、「美味しい」という伝わりづらい価値を、試食という手段を用いて伝えることなのでしょうが、美容系サービス業の場合は、一般的になかなか“試食”というのも容易ではありませんので、工夫が必要になります。

この場合、ポイントになるのは、3の「どの様に」でしょう。自店で行っているモノ・コト(仕組みも含めて)は、USPを実現する手段としての位置付けであり、お客様が知覚しやすいものです。ここで、「ステキ」・「気持ちいい」・「ゆったり」・「癒される」の背景を力強く示すことです。 この「どの様に」が主張するUSPと一貫性がとれていて、かつ、“新たな”、“ならでは”の、“ハッピー”なものとして消費者が理解し、共感しやすいものであった場合、ストアコンセプトはとんがった、力強いものとなることでしょう。

Part2では、具体例でご説明したいと思います。

美容サービス業スタッフの真の強みとは

美容サービス業スタッフの真の強み…あくまでも私見ですが…いろいろたくさんある中で、私は、“優れた感性”が頭2つぐらい出ているのかなと感じます。 感性とは、日本感性工学会の定義では、「ひらめきや創造性の源となる脳の高次機能の一部」となっているようですが、私は、ひらたく言うと、「いいな~とか、ステキ~とか、ハッピーに対する感度や表現能力」ととらえています。 例えば、美容師さんは美という側面からのハッピー感性が優れていると思われますし、リラクゼーションサービススタッフの方は、あくまでも私の経験上ですが、スピリチュアルな感性レベルが高い様に感じます。 心の豊かさ・充足感・ハッピー感といったbeingの欲求は今後も益々強まってくることが予測されることを考えると、一般的にこの感性レベルが高い美容サービス業のスタッフの皆さんは、新時代に適応しやすいポテンシャルの持ち主であるように思われますし、おそらく、事実そうなのでしょう。この感性は大切に、そして、どんどん磨いていっていただきたいものと思います。

そして、その優れた感性を活かすためにも、概念化・意味づけに優れた知性とのジョイント手段を持っておいていただきたいと思います。なぜなら、せっかくの優れた感性も、そこまでの域に達していない方々に対してはわかりやすく翻訳してあげないと、価値として伝わらないからです。 ひとりの人間の中でそのジョイントがハイレベルで行えるのがベストでしょうが、他の人と補完関係をもつのが現実的ではないでしょうか。 「知性優位だけど、感性に理解がある人材」、探してみてください。きっと、あなたのまわりにいらっしゃることでしょう。

究極の差別化要因とは…

それは、あなた自身です。
あなた自身とは、あなたの生き方です。
 
そして、あなたの生き方を世に表現する場があなたのサロンであり、そこに共感する人々が(お客様として、スタッフとして)集う場が、あなたのサロンです。
 
さあ、今日も舞台の幕があがります。あなたが主役の、あなたが輝く、あなたの物語です。
 
Are you ready?