経営企画室便り

伝える

以前、ご紹介したことはあったかとは思いますが…

何度聴いても心がうたれるスピーチがあります。
今は亡き、スティーブ・ジョブズの、スタンフォード大学卒業式でのスピーチです。

理・美容サービス業を営む皆さんは、とても感性が豊かで、そのお仕事の性質上、頭の中に、「絵としてイメージ」を浮かばせる力に非常に長けていらっしゃると、実感しています。
同じことは、理・美容サービス業以外の分野でも、特に、新たな事業を創造しようとなさる方にもあてはまることが多いように感じています。

で、事業をやっていくにあたっては、その「頭の中のイメージ」を、お客様をはじめ関係者の方々に伝わるように工夫していかなくてはならないのですが…
その「頭の中の”絵としての”イメージ」そのもので他人に表現しようと苦心なさっている方も、少なからずいらっしゃるようです。
その“絵”が、一目で伝えたいことを他人にも伝わるようなものであればいいのですが、多くの場合、伝えられる側は、伝える側ほどの“絵”で理解できる感性をお持ちでないケースが少なくなく、結果、本来の価値が伝わらず、お互いもどかしいことになっていることが、非常に多いように感じます。

対お客様然り、対スタッフ然り…
誤解を恐れずに申し上げますと、対金融機関さんについては、お互いが言葉の通じない外国人的感覚となりかねないということは、私も、実務上、少なからず経験しました(笑)。

やはり、他人に伝えるには、わかりやすい言葉の力が必要です。
ところが、だからといって、ロジカルな文章で表現しようとすると…
今度は、最も大切な、“感性”がうまく表現できず、死んでしまいます。
感性は、聞き手の心を動かさないと、言い換えれば、感情を動かさないと伝わらないのですが、ロジックでは、それが困難だからです。
ちょっと脱線しますが、私みたいな中小企業診断士や、公認会計士さん、税理士さんといった、いわゆる士業と呼ばれる方々で、理・美容サービス業を主対象とした活動をされている方が、市場規模のわりには非常に少ないのも、実は、ここらあたりにその要因のひとつがあるんじゃないかなと、私は推測しています。
方や感性表現、方やロジカルシンキング力が有能の証しとされることの多い士業という専門家の方々…お互い、話している言葉が違うという面もあるのかなと思います。

話をもとに戻しますが…
そのコミュニケーションギャップを埋めるのに、この「物語で語る力」は、非常に強力な武器になります。
(ここでいう物語とは、戦略論や知的資産経営あたりで言われることが多い「因果関係でつながったストーリー」ではなく、「感情でつながったストーリー」のこと、両者は、全くの別物です)

ストーリーテリングの力、ナラティブメソッド、ナラティブシンキングを磨くこと、
これからの理・美容サービス業、あるいは、事業を興す方には、必須要件となるでしょう。

では、もうひとつ、スティーブ・ジョブズ関係の動画を…
アップルのデザイン担当上級副社長であり、ジョブズ氏の盟友、ジョナサン・アイブ氏による追悼スピーチ。

万感の思いをこめた、一語の強さを感じることができますね。

第3回創業補助金前半戦を終わって

すいません、か~なり、間があいてしまいました。
決して、遊んでいたわけではありません(*´д`*)

本日、第3回創業補助金前半提出締切日でした。
結果として、私が直接関わらせて頂いたのは、8件、うち、1件は書き上げたのですが、諸はんの事情により12月提出へ。
認定支援機関名信金さんのうちの1件は、事業主さんがご自分で必要部数揃えて提出するということでしたのでお任せし、残り6件を、本日までに提出完了となりました。
内訳は、認定支援機関名私分が4件、信金さん分2件、全て、コンシューマー対象のお店商売です。
申請者、そして、案件をご紹介いただいた方々には、深くお礼申し上げます。
また、ご相談いただいたにもかかわらず、数件、お手伝いを断念させていただいた方がいらっしゃいます。
この場をお借りして、お詫び申し上げます。

自分で言うのもなんですが…ひとりでやっている認定支援機関としては、それなりの件数をお手伝いさせていただいたと思います。
本来なら、じ~っくり時間をかけて、細部までこだわった業務提供をさせていただきたいところだったのですが、一部、物理的にやや“急ぎ仕事”になってしまった案件もあります。
ただ、“急ぎ仕事”とはいえ、業務レベルは落としたくなく…で、いつもより単刀直入に、お会いしていきなり、

「ところで、このビジネスの、○○さんならではの、新たな、お客様にとっての価値はなんですか?」
あるいは、
「なぜ、お客様は、、(他の数あるお店ではなく)○○さんのお店を利用しなくちゃならないんですか?ごく簡単に、できれば一文で教えてください」

からヒアリングをはじめることを徹底しました。
今回の8件共、これがわりと明確になっていました。これが明確だと、ビジネスモデルも明確にしやすいですし、トンガリのある事業計画も作りやすいです。

逆に…これが不明瞭な方は、「もう少し準備が必要」でしょう。
無理に創業しても、失敗のリスクが非常に高いと思います。

考えてみたら、これは至極当たり前のことでして、そもそも、お店をやろうという側自体が、「なぜ、他ではなくこの店を利用しなくちゃいけないのか」がわかっていないのに、お客さんがわかるはずがないわけで…。

ところがですね…ヒアリングをしたり、ご自分なりに書かれた事業計画を拝見すると、「何をやる」は書いてあっても、この「お客様が他ではなく、この店を利用しなくてはならない理由」がぼやけてしまっている方が、と~っても多いのです。
ヒアリングを通じて明確にできるものはお手伝い可能なのですが、特に、「補助金があるからこの機会に」というタイプの方のものは、ご本人が回答に窮することが多々ありで…採択の可能性も高くはないでしょうね。

12月24日締切の後半戦は、更に多くの方が、申請なさることでしょうが、予定なさっている方は、まずご自身、

「ところで、このビジネスの、○○さんならではの、新たな、お客様にとっての価値はなんですか?」
「なぜ、お客様は、、(他の数あるお店ではなく)○○さんのお店を利用しなくちゃならないんですか?」

に対する回答を明確にしてから、前に進まれることをオススメします。

これは使えます

以前、特に理美容サービス業においてはフレームワークに基づいた課題解決、経営シナリオ設計は、実務上、あまり役立たないと、あくまでも私個人としての意見ですが、述べました(こちらをご参照ください)。

あちこちで、同様のことを言っているものですから、特に、多くの中小企業診断士の方々から、ご不興をかったりしています(笑)。
とりわけ、試験に合格されて間もない方あたりからは、「実務補修でも、SWOT分析をきちっと使うことを教えられるのに、おかしいんじゃないか?」という詰問(笑)をいただくことも、しばしばです。

それでも、理美容サービスベンチャー企業の現役経営企画担当取締役としての10年間において、フレームワークの効果を感じたことは、ほとんどなかったというのも、偽らざる事実です。まあ、私が未熟な故もあるのかもしれませんが…(笑)。
特に、SWOT分析については、正直、使えたシーンは、ベンチャーキャピタルさんに提出した事業計画書や、ビジネスプランコンテスト・各種認定時の事業計画書を書いた時ぐらいだったと思います。それも、どちらかというと、単なる現在考えていることの説明ツールや検証ツールとしての使い方であり、形式的だったことも少なくありません。少なくとも、SWOT分析から、創造的解決策が生まれたということは、私の記憶するところでは、10年間のうち、正直ありませんでした。

その10年間以前の、コンサルティングファームでの5年間の修行時代も、それに似た感覚であり(当時は、そもそもSWOTは、現在ほどは重要視されていませんでした)、昨年、ひとりの診断士として活動を再開した後も、少なくとも、理美容サービス業にはSWOT分析というフレームワークはなじまないという認識を、さらに強くしています。
誤解をおそれずに言うと…この10年ほどで一般的となったバランススコアカードや、知的資産経営報告書についても、SWOTに対してほどではありませんが、理美容サービス業には馴染みづらいな~と実感しています。
3C(Company、Customer、Competitor)は一般的に使うとは感じていますが、それでも、この3つの「C」は並列でなく、
Customer>Company>Competitor
ぐらいの差はつけたほうがいいと思っています。
このことは、決して、それらフレームワーク自体の本来の要素を否定しているのではなく、フレームワークを、まるで算数の方程式の様にあてはめることになりがちな危険性(その方がロジカルでもっともらしく見えるし、仕事したらしく見えるからという方もいらっしゃるかも)が、感性命の理美容サービス業の特性にそぐわない、現代のコンシューマーの消費特性とのズレが生じていると感じるが故ですが…

そんな、非フレームワーク派の私が、「これは使える!」と感じているフレームワークがあります。
それは…

ビジネスモデルキャンバス

です。
詳細については、ビジネスモデルジェネレーションの公式サイトをご参照いただきたく思いますが、このフレームワークは、創業なさる方や、新規ビジネス・新業態を創造なさる方にとっては、非常に使いやすく、実態にあった“整理ツール”だと思います。

SWOT等、伝統的なフレームワークとの最大の相違点は、フレームワークのど真ん中に、「(顧客)提供価値」を置いていることです。
その「(顧客)提供価値」を実現するための手段として、他の要素を位置付けています。
実務家の方には、実に使いやすいツールと思います。

ただし、このビジネスモデルキャンバスにも、もちろん、弱点はあることでしょう。
その最大のものは、私が現時点で感じているところは、

「では、その肝心の、(顧客)提供価値を創造するにはどうしたらいいですか?」

という問いに対する創造的回答が、このフレームワークでは生まれづらいということです。
逆を言えば…その創造活動を促進する他の「思考方法なりツール」と組み合わせれば、従来の伝統的なフレームワークと比較して、はるかに効果が見込めるのではないか、そう感じています。

私は…以前ご紹介した、

「繁盛サロンになるための3つの質問」

(詳細はこちら)と組み合わせて活用していきたいなと思っています。

第3回創業補助金のポイント

や~っと…、創業補助金第3回目の募集が昨日から始まりました。(詳細はこちら

今回の募集、何点か大きな変更点があります。

その最大のものは、
認定支援機関が記入・捺印する確認書のフォーマットが大きく変更になっているという点に、あらわれています。
すなわち…
「認定支援機関が、今後どういう支援を継続的に行っていくか、明記せよ」
となっている点です。
これまでも、今後の支援内容を記入する欄はありましたが、正直、形式的なものとされていたケースが少なくなかったようです。
その結果、ハンコを押すだけ、実際は腰をすえた今後のお手伝いは事実上ないという、失礼な言い方かもしれませんが、「なんちゃって支援機関」的なケースも少なくなかったように聞いています。

今後は、その支援内容も、採択審査にあたっての判断のひとつにする旨、先ほど配信された、経産局からの認定支援機関専用メルマガでも明言されていますので、応募者の方にとっては、補助金申請時だけでなく、実際に継続してご自身の創業を支え伴走してくれる認定支援機関かどうかを見極める必要があります。特に、マーケティング面、と、補助対象経費管理面といったところでしょうか。
そもそも、売上が上がらないと、補助経費管理もなにもあったものではありませんので、やはり、最重要なのは、ちゃんとマーケティング面に踏み込んで伴走できる認定支援機関かどうかということが、創業の成功確率を上げるという面においても、より重視する必要があると、今回の改正から感じました。
それと、継続的支援が審査対象になるということになると…自らが認定支援機関として確認書に記入・捺印する金融機関は、激減する可能性があるのかな~とも感じました。応募予定の方は、その点も、重々ご留意ください。

この改定、私はいいことだと感じました。
私は、もともと、私、ないしは、私が信頼できるパートナーが継続してフォローできる案件以外のお手伝いは、原則お断りしてきました(詳しくはこちら)。
今回の第3回募集についても、既に4件、ほぼまとめ上がっていて、9月中ないしは10月初旬には事務局に提出しますが、いずれも、私ないしは、私が信頼するパートナーがフォローする案件です(3件は認定支援機関は私名、1件は金融機関名)。
それが認定支援機関として、私としてはあるべき姿だと思っていたからです。
今回の改定は、そのあるべき姿にそうもの、歓迎すべきことと感じました。

その他、重要な変更点はまだありますが、それについては、また後日…。

繁盛店になるための3つの質問

台風18号、大変な猛威でしたね。。。
被害にあわれた方々、心よりお見舞い申し上げます。

さて、本題です。
理容室であろうが、美容室であろうが、エステサロンであろうが、リラクゼーションサロンであろうが、ネイルサロンであろうが…
広告より先に…、フェイスブック等SNSやDMやニューズレターや看板やチラシやホームページや集客サイトより先に…

あなたは、以下の3つの質問にきちんと答えることができるか、どうぞ、ご確認ください。
これから創業なさろうという方は、この3つの質問にきちんと答えることができない間は、時期尚早と考えても差し支えないと思います。

それでは、その3つをご紹介します。

Q1.どんな、あなたならではの、新たなお客様にとっての価値を、ご提供しますか?

Q2.その価値で、ハッピーになる人は、どんな人ですか?

Q3.その価値を、どうやって現実のものにしますか?

Q1も、3つの質問(下線部)から構成されていることにご注目ください。
近年の理美容サービス業は、「確かな技術を、反応のいい広告テクニックで周知する」レベルでは、一時的にはなんとかなっても、根本的な解決とはならないほど、従来の延長線上では考えられない構造的変化が生じていると思います。
個人的には…特に、美容室の方は、再点検が必要と感じています。

それぞれの質問の中身については、順次、またの機会にということで…。

補助金申請だけのお手伝いは、お受けできかねます…申し訳ございません。

いきなり、とても生意気なタイトルの記事で、申し訳ありません。

ただ、「ものづくり補助金」第2次募集分の採択発表直後、今がちょうどいい時期かなと思い、補助金がらみのお手伝いをさせていただくにあたっての、私なりのスタンスを述べさせていただくことにしました。
ただし、これは、あくまでも私なりの考え方であって、決して、現在、たくさんいらっしゃる「補助金申請支援」を業としてアピールなさっている方々をどうこう申し上げるものではありませんので、予めご了解をお願いいたします。

現在のところ、私が認定支援機関として、補助金の申請にあたってハンコを押す、ないしは、それに関する事業計画の策定のお手伝いは、その案件が、以下の条件に合致していると判断できる場合のみとさせていただいております。

1.補助金申請時だけでなく、採択後も継続して、私、ないしは、私の信頼できるパートナー(信頼できる、他の認定支援機関さん・専門家さん・金融機関関係者&商工会議所等公的支援機関等)が、その事業の実現に向けて、なんらかの形でしっかりフォローできる案件であること。
2.仮に補助金がなくても(ex.規模を縮小してでも)、その事業遂行の意欲と決意をお持ちの方の案件
3.その他、上記1,2に準じる方の案件

反対に、下記に該当すると思われる案件については、お断りさせていただいております。

1.明らかに、補助金のみ狙い(事業は、補助金ゲットのため)の案件
2.私への期待が、「補助金ゲットノウハウ」や「認定支援機関としての印鑑」や「代書機能」がメインであると感じられる案件
3.事業遂行にあたっての姿勢に、私が共感を感じれない方の案件
4.その他、上記1~3に準じる方の案件

確かに私は、今年に入り、決して多くはないものの、単なる個人の認定支援機関としては、それなりの数、補助金申請にもからむお手伝いをさせていただいています。

創業補助金については、第1回目2次募集1件(認定支援機関名:金融機関)、第2回目1次募集1件(認定支援機関名:私)、同2次募集2件(他の認定支援機関フォロー案件)、それぞれ採択となっており、第3回目の募集に関しても、本日現在で、第1次募集分4件のお手伝いが決定しており既に業務を進めており、後半の第2次募集分のご相談も入りはじめています。

小規模事業者活性化補助金については、同補助金が、私のフィールドである“理美容サービス業を主体としたライフスタイルサービス業”にとって、実務的に、ほぼ使いものにならない補助金であり、その申請ありきの事業計画となりかねないことは、関与先さんにとってもマイナスとなる恐れがあることから取り組みませんでしたが(実は5月から準備を進めていて、2件、準備はほぼ万端だったのです…泣く泣く、事業者さんにご説明し、断念となりました)…、

一見、私のフィールド外とも思える「ものづくり補助金」についても、第1次募集では1件、つい先日発表となった第2次募集分では(採択案件一覧はこちらをどうぞ)4件、私が認定支援機関となった案件が採択されています。
製造業に関しては、私のフィールド外ですので、私が継続してかかわるより、他の専門家の方がお手伝いなさった方が、何より事業者さんのためになると思っていますので、お寄せいただいたご相談案件は補助金関係にかかわらず、これまでほぼ全て、信頼できる他の専門家の方にご紹介してきました。
この「ものづくり補助金」の計5件は、全て、過去10数年にわたり、おつきあいさせていただいてきて、信頼できるパートナー関係の案件です。少々個性的ですが(笑)、東大工学部出身の技術系コンサル業務を長くなさってこられた方で、非常に優秀な方です。この方が関わっておられる、あるいは、今後関わっていかれる案件なら、分野外の私ですが、多少ともお役にたてると思い、認定支援機関として捺印させていただいたものです(その方にご興味のある方は、ご連絡をいただければ、ご本人ご確認のうえ、ご紹介もさせていただけようかと思います)。

以上が私の補助金に関連するスタンスです。
聞きようによっては、ずいぶん生意気な上から目線の様に思われるかもしれませんが、そもそも、補助金に関係する関係しないにかかわらず、計画を策定しただけで、事業が立ちあがり、その価値実現に向けて進んでいくとは限りません。
補助金も、本来、受給することが目的ではなく、その事業を成功確率をあげるためのものであり、認定支援機関としての本来業務も、その事業の価値実現に多少なりともお役にたつことと、私は思っています。
したがって、補助金申請時のみのおつきあいは、原則、お受けできないということを基本姿勢としています。

本当に生意気なことで誠に恐縮なのですが、以上をご理解いただいた上で、尚、ご相談をご希望の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。お手伝いすることとなったからには、微力ながら全力を尽くして、取り組ませていただきます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

起業準備セミナー、ありがとうございました。

昨晩は、大阪産業創造館にて起業準備セミナーの一環として、「共感なくして成功なし、物語なくして共感なし」と題して、感動ストーリーテリングについてお話させていただきました。
まだまだメジャーとは言い難いテーマにもかかわらず、最終、30名ほどの方がご参加いただきました。
ご参加いただいた皆様、大変ありがとうございました!
また、貴重な機会を与えてくださった、産創館創業支援チームの皆様、ありがとうございました!

企画当初は、理論編とワーク編の2回にわけてとの案でしたが、その後、まずはまとめて1回のセミナーにてとなりましたので、やや、実際の作成フェイズに関しては説明したりないところはあったとは思いますが、現時点での、私の持てる力の全力をもってお話させていただきました。
いたらぬ内容だったかもしれませんが、多少なりとも、ご参加いただいた方々のお役にたてれば幸いと思っています。

セミナーではあえては触れませんでしたが…
このブログをご覧いただいている方には、ぜひご理解いただきたいことがあります。

確かに、感動ストーリーテリングは、非常に強力なツールです。
ただし…あくまでも、ツールです。ツールはツールであって、魔法の杖ではありません。
あくまでもツールですから…コアがあってこそのものです。
そもそも、語るべき(聞き手にとって)価値のあるコアがあってこそ、パワーが発揮されます。

そのコアの最たるものは…

「あなたならではの、あらたな、(お客様にとっての)価値」

です。
どうか、そのことを、くれぐれもお忘れなきよう、この場を借りて、お願いしたいと思います。

それでは!

繁盛サロンになるための、3つの質問

このところ、立て続けに自家焙煎珈琲屋さんのお手伝いをさせていただいた関係もあって、どうも、「美味しくないコーヒー拒絶症」にかかってしまった気がします(笑)。
コーヒーの世界って、焙煎をなさる方の個性とか感性が反映される、ものすご~く奥が深い世界の感じがしています。
ある意味、理美容サービス業と相通じる点が多々あるように感じます。
思えば、我が国リラクゼーションサロンの先がけと言われているお店が神戸元町に誕生したのが1994年、発想のきっかけは、コーヒーショップの利用シーンでした。そう考えると、理美容サービス業、とりわけ、リラクゼーションサロンがコーヒー屋さんと相通じるものがあるのは、当然と言えば当然ですね。
その神戸元町の店が、飲食店許可のお店だったことは、あまり知られていないことですが、印象的なことに感じます。

さて、だいぶ先になりますが、来年1月、大阪北摂地区の某商工会議所さんで、短時間のプチセミナーをさせていただくことになりました(日が近づいてたら、あらためてご案内させていただきます)。

タイトルは…

『繁盛サロンになるための、3つの質問』

となる予定です。
3つの質問とは、これまで何度かご説明してきました、

1.Value(どんな、「あなたならではの、あらたな」価値を、お客様に、社会に提供しますか?)
2.Customer(その価値でハッピーになる人は、価値と感じる人はどんな人ですか?)
3.Arrangement(その価値をどうやって実現しますか?)

です。
理美容サービス業にかかわらず、多くの事業者さんで、特に、お店商売においては、この3つ、その中でも、1番目の質問が真剣に問われているケースがとても多い、というよりも、過半、場合によっては、ほとんどと実感しています。
今の消費社会では、この根幹のところの見直し・再確認・明確化が最も求められていると確信しています。
広告云々やオペレーションをはじめとするハウツーを工夫し、改善するのも大事でしょうが、そもそも、この根本部分について深く考えることなしでのハウツーでは、効果は一時的であったり、薄くなりがちです。

今後は、私としても、よりこの3点を中心にすえた業務のご提供をしていきたいと考えています。

それでは!

まずは、○○師、○○○ストであることは忘れましょう

前回、事業計画フォーマットやフレームワークは一旦横において、

1.Value(どんな価値を、お客様に、社会に提供しますか?)
2.Customer(その価値でハッピーになる人は、価値と感じる人はどんな人ですか?)
3.Arrangement(その価値をどうやって実現しますか?)

を深く掘り下げて、よ~く考えることをオススメしましたが、その際に、もひとつ、一旦は横においておくもの、一旦頭から消し去るべきことがあります。
それは…

「あなたが、理容師であること、美容師であること、ネイリストであること、エステティシャンであること、リラクゼーションセラピストであること」

です。
石が飛んできそうです(笑)、でも、とてもとても大切なことだと思います。
理容師・美容師・ネイリスト・エステティシャン・リラクゼーションセラピストをやめてくださいと言っているわけではありません。
一旦、頭から消し去って、先の3点を掘り下げてくださいとご提案しているわけです。

でないと…
出てくる発想は、「顧客価値」という視点からではなく、施術・サービス視点からのものになってしまいます。引っ張られてしまいます。多くの場合、顧客価値ではなく、商品・サービスに意識がフォーカスしてしまいがちです。
「あらたな、ならではの価値創造」は夢のまた夢、結果、またしても、ありふれた、どこにでもある、使い古された様な、あいまいなストアコンセプトになってしまいます。

「新たな価値創造」ができなければ、いつまでたっても、理容室なら他の理容室との、美容室なら他の美容室との、リラクゼーションサロンなら他のリラクゼーションサロンとの激烈な競争、場合によっては潰しあいの泥沼からは抜け出せないだけでなく、ますますはまっていく恐れも低くないでしょう。

お客様にとって大切なのは、お客様が得られる価値であって、あなたが理容師・美容師・ネイリスト・エステティシャン・リラクゼーションセラピストであることではありません。あなたがご提供する商品・サービスは、お客様が手にする価値を実現するための手段であって、目的ではありません。
もちろん、理容師・美容師・ネイリスト・エステティシャン・リラクゼーションセラピストであることにこだわり、知識・技術を深めていくことは、とてもとても大切です。
ですが、それは手段であって目的ではない。あくまでも、目的は、「お客様にとっての価値」実現です。

ともすると、この目的と手段の逆転が起こりやすい…このことは、理美容サービス業だけでなく、私たち○○士と言われる、いわゆる士業の世界でも、頻繁に発生します。かくいう私も、その一人です。
どうしても、「自分の立場からの発想」に偏りがちです。
言っている張本人の私も決してできているわけではなく、反省することしきりなのですが、今後も事あるごとに、自省していきたいと思います。

そういう意味では、この顧客価値について深く考える時は、第三者の目線を入れる工夫は必要かもしれませんね。

では!

事業計画書フォーマットは使えない?

おはようございます。
ちょっと、更新の間があいてしまいました。

前回のお題は、私たち、理美容サービス業にとって(というより、その他のサービス業・飲食・小売・ITetc.小規模製造業以外にとって)、と~っても使いづらい、むしろ、事実上ほとんど“使えない”ことがとても多い「小規模事業者活性化補助金」に関してでした。
その続きとしての、“使えないシリーズ”のひとつではないですが…。

私が現役の理美容サービスベンチャー企業の常勤取締役経営企画室長だった10年間、ずっと抱いていた感覚が、この、

「事業計画書フォーマットは使いづらい、特に理美容サービス業ではあまり使えない」

というものでした。
もちろん、事業計画自体はとても大切なもので、事業を行っていくにあたっては必要不可欠なものとの認識にはかわりありませんが、問題は、その策定プロセスであり、それを書面に落とし込む際に一般的によく使われる様なフォーマットであったり、関連フレームワークであったりします。正確に言うと、そのフォーマットの構成のあり方や、フレームワークの使い道です。

一般的には、事業(創業)計画フォーマットは、多少の違いはあっても、だいたい、下記の様な構成になっていることが多いと言えましょう。わかりやすくするため、創業計画書としてご説明します。

1.創業者について
①プロフィール
②創業の動機
2.外部環境分析&内部環境分析
①機会 ②脅威
③強み ④弱み
3.商品・サービス(orビジネスモデル)
①誰に(ターゲット) ②何を(どんな商品・サービスを)
4.戦略(どのように)
(1)基本戦略
①商品戦略(差別性・優位性) ②価格戦略 ③チャネル戦略 ④プロモーション戦略
(2)個別戦略
①組織・人事戦略 ②店舗開発戦略…etc…
5.損益計画
6.資金計画

てな感じでしょうか。その策定にあたっては、SWOT分析、4P、3Cや、時には、BSCといったフレームワークを使ったりします。最も頻度が高いのはSWOTで2の「外部環境分析・内部環境分析」に該当します。

このフォーマットが…、理美容サービス業の場合、非常に使いづらい!
これだと、創業者をはじめ、事業当事者の意識は、まず、「商品(モノ)・サービス」あるいは「ビジネスモデル」に向きます。
後は、その商品・サービスやビジネスモデルを、「いかに売っていきますか?」という流れで、考えが進んでいくことになりがちです。
まず、この検討の流れ自体が、現場感とは大きな違和感がありました。

その違和感の正体は…
「何を売っているのか?」
の違いにあると、今では確信しています。

多くのサービス業の場合(飲食・小売等お店商売のほとんどはそうでしょうが)、ほとんどの発想の起源は、「お客様の喜ぶ声・顔」だったり、お店の現場や生活の一シーンの中でふと気付いた「お客様の、消費者の、充たされない思い」であったりします。
すなわち、お客様にご提供する価値は、モノ・サービスそのものではなく、多分に感情的・情緒的なものであり、それを実現するために最も重要なのは、「お客様に喜んでいただきたい」という、サービス提供側の、これまた情緒的な「感性力」であることが、非常に多いというのが実態です。

一般的なよく見かける事業計画フォーマットは、この点の考察が非常に浅くなりがちで、そもそも、そういった「感情・情緒・感性」力をきちんと表現する欄自体がないに等しい…。
かろうじて「創業の動機」欄にちょっと書けたりするのですが、そこで求められているものは、背景のロジカルな説明だったりで、とても十分とは言えません。

それと…、以前も述べたことですが、こういった「感情・情緒・感性力」は、現実的にはSWOT分析からは生まれません。事業のタネも、事業者の想いや気づきから、生まれることがほとんどです。SWOT分析は、その事業のタネから生まれた事業アイデアを検証する段階になってはじめて活用できるものというのが、現場での実態かと思います。

もちろん、金融機関やベンチャーキャピタルからの資金調達や、ビジネスプランコンテストや補助金等は、この一般的な事業計画書フォーマットに準じて形式が定められていて、最終的にはこの形にまとめる必要がありますし、私も実に様々な提出先にむけての事業計画を書き続けてきたのですが、事業計画をまとめるはじめの段階では、こういった事業計画フォーマットや、SWOTのようなフレームワークは一旦横に置いて、というより頭の中から消して、スタートさせた方が、よりその方らしい、とんがったビジネスプラン、形式的ではない、本当の意味で使えるビジネスプランができあがると、確信しています。

では、それらを一旦横において、何をなすべきか…
それは、以下の3点について、しっかり時間をかけて、自分の心の奥底にあるものと対話しながら組み立てていくことです。

1.Value(どんな価値を、お客様に、社会に提供しますか?)
2.Customer(その価値でハッピーになる人は、価値と感じる人はどんな人ですか?)
3.Arrangement(その価値をどうやって実現しますか?)

です。
この3つ、“何を”、“誰に”、“どのように”の形になっていますが、その順番も大切です。
“何を”、“誰に”、“どのように”であって、“誰に”、“何を”、“どのように”ではありません。
あくまでも“何を”が先です。まかり間違っても、“どのように”を先にしてはいけません。“どのように”を先にすると、使えるビジネスプランになりません。ボワ~っとした、総花的なものになってしまうことが多々あります。
“何を”が先が、現実に即した組立のあり方です。

「SWOT分析は、一旦忘れましょう」

なんてことを言うと…他の診断士さんあたりが、とても怪訝そうな顔をされることがよくありますが…(笑)

それでは!